2022年8月14日(日)

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2022年8月2日

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ブラジル・リオデジャネイロでこのほど、頭部がつながった状態で生まれた双子の分離手術がイギリスの病院の指導のもと行われた。バーチャル・リアリティー(VR、仮想現実)の助けを借りて、手術は無事成功した。

手術を受けたのは、3歳のベルナルド・リマ君とアルトゥール・リマ君。英ロンドンのグレイト・オーモンド・ストリート病院が手術を指導した。

医師団はコンピューター断層撮影(CT)や磁気共鳴断層撮影(MRI)に基づいた、双子のVR投影を用いた技術を使い、数カ月間練習を重ねた。

外科医のヌール・ウル・オワセ・ジーラニ氏は、VRを用いた手術について「宇宙時代のよう」だと述べた。

ジーラニ医師が2018年に設立した医療慈善団体「ジェミニ・アントゥワインド」は、これまでで最も複雑な分離プロセスのひとつだったとしている。この団体は今回の手術資金を提供している。

別々の国にいる外科医がヘッドセットを装着し、同じ「VR空間」で一緒に手術を行ったのは初めてだと、ジーラニ医師は説明した。

双子は計7回の手術を受けた。最後の手術だけで27時間以上を要し、100人近い医療スタッフが携わった。

「火星にいるよう」

手術におけるVRの側面について、ジーラニ医師は英PA通信に対し「とにかく素晴らしい。実際に子供たちを危険にさらす前に、解剖学的構造を確認し、手術を行えるのは本当にすごいことだ」と述べた。

「外科医にとってこのことがどれほど心強いか、想像がつくでしょう」

「ある意味、これらの手術は現代で最も難しいものだと考えられている。VRでそれを行うことは、まさに火星にいるような感覚だった」

先に行われた手術では双子の分離は失敗に終わっていた。瘢痕(はんこん)組織によって双子の解剖学的構造が複雑になっており、この危険な処置を行うのが「本当に不安」だったと、ジーラニ医師は話した。

ジーラニ医師は27時間にわたる手術で、食事と水分補給のために15分間の休憩を4回しかとらなかった。手術を終えると「完全にへとへとになった」と語っていたが、双子の家族が「大喜び」しているのを見て嬉しく思ったという。

双子の血圧と心拍数は、4日後に2人が再会して手を触れ合うまで「相当上がっていた」という。

双子は病院で順調に回復しており、今後は6カ月間のリハビリを行っていく予定。

人生を一変させる

ジーラニ医師にとって今回の手術は、慈善団体「ジェミニ・アントゥワインド」が関わる分離手術としては6回目。これまでにパキスタンやスーダン、イスラエル、トルコの双子の手術に携わってきた。

ジーラニ氏と共に、ブラジル・サンパウロのパウロ・ニーマイヤー州立脳研究所の小児外科トップのガブリエウ・モファレジ氏が手術を担当した。

モファレジ氏は、分離手術は双子の「人生を一変させる」だろうと述べた。同氏が勤務する病院は、2年半にわたり双子の世話をしてきた。

「2年半前に私たちの助けを求めてロライマ地方からリオにやってきた男の子たちの両親は、それ以来、この病院で私たちの家族の一員となった。手術がすごくうまくいったことを嬉しく思っている」

ベルナルド君とアルトゥール君はまもなく4歳になる。分離手術を受けた頭蓋結合双生児としては最年長となる。

「ジェミニ・アントゥワインド」によると、結合双生児は6万の出生あたり1組の確率で誕生する。そのうち頭蓋結合双生児はわずか5%という。

(英語記事 Conjoined twins separated with the help of VR

提供元:https://www.bbc.com/japanese/62388104

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