2022年8月11日(木)

BBC News

2022年8月4日

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国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長は2日、ウクライナに侵攻したロシア軍が占拠した欧州最大のザポリッジャ原子力発電所について、「完全に制御不能」な状況だと明らかにした。

AP通信によると、グロッシ事務局長はサポリッジャ原発で点検と修繕を行う必要があると述べた。

「いかなる原子力施設でも決して起きてはならない事が存在する」と、グロッシ氏は述べた。

ウクライナ南東部にある欧州最大のザポリッジャ原発は、ロシアとウクライナの戦闘が起きている場所から近く、危険な状態にある。

アントニー・ブリンケン米国務長官は今週初め、ロシアが同原発を、ウクライナ軍への攻撃拠点として利用していると非難した。

ウクライナ当局は、ロシアがウクライナ南部のドニプロ川沿いにある原発の敷地内に軍隊を駐留させ、軍用機器を保管しているとしている。

しかし、ロシアに任命された同地域の当局者はロイター通信に対し、ウクライナ軍が西側諸国から供給された武器を使って原発を攻撃していると語った。

ザポリッジャ州のロシア占領地を統括するエフゲニー・バリツキー氏は、ウクライナ軍の攻撃からロシア軍がいかに原子力施設を守っているかをIAEAに示す用意があると述べた。

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「非常に脆弱な状況」

サポリッジャ原発では3月、ロシア軍の砲撃を受けて火災が発生し、国際的な批判が沸き起こった。鎮火後にロシア軍は原発を制圧した。

現在もロシアの支配下でウクライナ人スタッフが原発の稼働を続けている。

米ニューヨークの国連本部で開かれた記者会見で、グロッシ氏は、「非常に脆弱(ぜいじゃく)な状況にある。原子力の安全に関するあらゆる原則が何らかの方法で破られ、それが続くことを我々は許すことはできない」と述べた。

グロッシ氏は、原発に送る視察団をできるだけ早急に結成しようとしているが、戦闘地域を訪問するリスクを考慮すると、国連の承認だけでなくウクライナ側とロシア側の同意も必要だとした。

ウクライナの原子力発電公社は6月、IAEA視察団が訪問すれば原発におけるロシアの存在を正当化することになるとして、IAEAを招かないとした。

調査必要な核物質

グロッシ氏はAP通信に対し、IAEAとサポリッジャ原発のスタッフとの連絡は「途切れ途切れ」の状態で、機器などのサプライチェーンは寸断されていると説明。調査が必要な核物質が大量にあることも明かした。

「この戦争が激化する中、何もせずにいるというのは容認できない」とグロッシ氏は述べた。「ザポリッジャ原子力発電所で事故が起きたら、天災のせいにはできない。対応するのは我々のみだ。みんなのサポートが必要だ」。

ロシアが原発を「核の盾」として利用していると非難するブリンケン米国務長官は、「当然、原発が絡む恐ろしい事故が起きないよう、ウクライナ側は反撃できずにいる」と述べた。

ウクライナでは1986年、北部チョルノービリ原子力発電所の原子炉が爆発し、世界最悪の原発事故が発生した。

ロシア軍は2月24日の侵攻開始から間もなくチョルノービリ原発も占拠したものの、5週間後に撤退した。敷地内のコンピューターは略奪されたり、破損されたりしたが、廃炉作業が進む原発の設備自体に被害はなかった。

(英語記事 Ukrainian nuclear plant out of control, UN says

提供元:https://www.bbc.com/japanese/62417583

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