2022年10月3日(月)

BBC News

2022年9月2日

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国際原子力機関(IAEA)の調査団が1日、ウクライナ南部でロシア軍が掌握するザポリッジャ原子力発電所に到着し、施設内を初めて視察した。調査団のうち数名は現地にとどまるという。

IAEAのラファエル・グロッシ事務局長は、「原発とその物理的な完全性」が「何度も損なわれた」と指摘した。

視察を終えてウクライナの支配地域へと戻ったグロッシ氏は、「我々はどこにも行かない。IAEAはいま原発にとどまっており、そこから動くことはない」と述べた。ただ、何人の調査員がどれくらいの期間、原発にとどまるのかについては明らかにしなかった。

ロシアのインタファクス通信は、8人から12人程度の調査員が原発に滞在すると伝えた。一方、ウクライナ原子力発電公社エネルゴアトムは調査員5人がとどまるとしている。

欧州最大のザポリッジャ原発は、ロシア軍が2月にウクライナに侵攻した直後に占領された。

現在も原発の稼働を続けているウクライナ人スタッフは、ロシア軍が原発を軍事基地として使用しており、作業員は事実上、銃口を突きつけられている状況だと話している。

調査団は原発の状況の把握と、ロシアの管理下にあるウクライナ人従業員との対話を望んでいる。

砲撃で現地入り遅れる

移動ルートで砲撃があった影響で、調査団は予定より遅れて現地に到着。その後、ロシア兵に連れられて原発に向かった。

ロシアとウクライナの双方は、IAEAの視察を妨害しようとしているとして互いを非難した。

グロッシ氏は、原発付近で起きている戦闘は今回の調査を「止めることはできない」と述べた。

「重機関銃や迫撃砲による攻撃が2、3回あったことは明らかだ。我々全員にとって本当に、非常に気がかりなことだったと思う」

オリ・ハイノネン元IAEA事務次長はBBCに対し、聞き取りが行われたとしても、従業員は自分たちや家族の安全へのリスクについて「彼ら(調査団)が望むほどオープンには語らないだろう」と述べた。

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ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は毎晩定例の動画演説で、調査団が「客観的な結論を出す」ことを望むとしつつ、調査団の中に国際ジャーナリストが含まれていない事を嘆いた。

そして、「ロシアが調査団を欺くために、あざ笑うようなことを数多く行っていたという明確な証拠を我々はつかんでいる」と付け加えた。「占領軍はIAEAの代表団に対してうそをつくよう人々に強要した」。

こうした中、ウクライナのアンドリー・イェルマク大統領首席補佐官は、原発に隣接する、ロシア支配下の町エネルホダルや原発に対して砲撃し、視察を「つぶそう」としたとしてロシアを非難した。

イェルマク氏はメッセージアプリ「テレグラム」に「犯罪者は止めなければならない」と書き込み、ロシアが「テロ国家」のように振る舞っているとした。

ロシアはこれに反論し、1日朝に川を渡って原発を奪い返そうとしたウクライナの「破壊工作員」60人が殺害されたとした。

欧州連合(EU)は原発事故の懸念が高まる中、ウクライナに550万個以上の抗放射線タブレット(甲状腺の被ばくを抑える安定ヨウ素剤)を提供している。

最近の戦闘で原発に多少の被害が出ているものの、これまでのところ、この地域で放射線量の上昇は確認されていない。

(英語記事 UN inspects Russian-held nuclear plant in Ukraine

提供元:https://www.bbc.com/japanese/62750505

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