2022年10月3日(月)

BBC News

2022年9月5日

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ロシアによるウクライナ侵攻を機にしたエネルギー価格の急騰が欧州の家計を直撃する中、ドイツ政府は4日、新たに650億ユーロ(約9兆円)規模のインフレ対策を導入すると発表した。

オラフ・ショルツ首相率いる連立政権によるインフレ対策は、これで3回目。これまでの規模を大きく上回る最新の対策は、家庭への支援を拡充する内容で、年金受給者や公的支援を受けている人、学生などへの一時金支給や、住宅手当の拡大が含まれる。

エネルギーの多用を必要とする企業約9000社には、総額17億ユーロの税控除が適用される。光熱費には上限が導入される。エネルギー会社の増収分に対する課税などを、光熱費減額の財源にする方針。

ショルツ首相は記者会見で、ドイツはこの先の冬を乗り越えられると強調し、ロシアは「もはや信頼できるエネルギー供給のパートナーではない」と述べた。

今回の包括支援策によって、ドイツのエネルギー危機対策の総額は1000億ユーロ近くに達する。ドイツ政府が新型コロナウイルス対策として実施した景気浮揚策は、約3000億ユーロだった。


欧州各国がエネルギー危機対策を検討

主要エネルギー輸出国のロシアが今年2月にウクライナに侵攻し、西側諸国が厳しい制裁を科したのを機に、エネルギー価格が世界的に急騰し、家計を圧迫している。

このため冬を控えて、ドイツのほかにも、欧州各国の政府が同様の対策を検討している。

イギリスでは与党・保守党の党首選で優勢とされるリズ・トラス外相が、もし6日に新首相になった場合は、1週間のうちに光熱費問題に取り組む対策を発表すると表明している。

欧州連合(EU)では9日にエネルギー相会議を開き、域内の光熱費負担をやわらげる方策を話し合う。ロイター通信によると、この会議に関する資料から、ガス代の上限設定や、エネルギー市場参加当事者を支援するための緊急信用供与枠の提供も検討する。

ウクライナは結束求める


こうした中、ウクライナ政府は欧州に、結束して支援を続けるよう求めている。

ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は3日夜の定例演説で、ロシアが欧州に住む全員の日常生活を破壊しようとしているのだと強調。ロシアが「欧州の全員に対して決定的なエネルギー攻撃」を準備しており、欧州が自衛するには結束が唯一の方法だと述べた。

BBCが4日に放送した単独インタビューでは、大統領夫人のオレナ・ゼレンスカ氏が、ウクライナを強力に支援すればするほど、現在の危機的状況をより短期間で終わらせられると話した。さらにゼレンスカ氏は、イギリスの人たちが家計高騰で苦しんでいるのや理解するとした上で、ウクライナは死傷する国民の数を数えているのだと述べた。

欧州の不満が懸念材料に

政治ニュースサイト「ポリティコ」によると、物価上昇による経済的な負担が今後厳しさを増す中、ウクライナへの軍事的・人道的支援を続けるよう求められることについて、欧州では議論が深刻化する状況が迫っていると、EU関係者は警告している。

すでに、現状への不満が具体化する事態も起きており、4日にはチェコの首都プラハで、エネルギー価格の高騰に抗議するとともに、対ロ制裁の打ち切りを求める集会があった。警察によると、主に極右と極左の団体から約7万人が参加したという。

他方、ロシアと欧州を結ぶガス・パイプライン「ノルド・ストリーム」のドイツ側施設がある北東部ルブミンでは、数百人が集まり、「ノルド・ストリーム2」の使用承認を求めた。ドイツは「ノルド・ストリーム2」の使用を一時支持していたものの、ロシアのウクライナ侵攻でこれは中断した。

ロシアの国営天然ガス会社ガスプロムはこれに先立ち、ドイツへのガスパイプラインの稼働停止を延長すると2日に発表した。

こうした状況で欧州各国は、ロシア産以外のエネルギー源の確保を急いでいる。ドイツの天然ガス備蓄量は今年6月の時点で50%未満まで下がっていたものの、現在は84 %に戻っているという。

(英語記事 Germany announces €65bn package to curb soaring energy costs

提供元:https://www.bbc.com/japanese/62791261

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