2022年10月6日(木)

BBC News

2022年9月14日

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オルラ・リン、BBCニュース(ウクライナ東部)

ウクライナ軍は、北東部での反転攻勢でロシア軍を押し戻し、多くの領土を奪還している。

しかし、新たに解放された地域では安堵(あんど)と悲しみが交錯している。住民からは、数カ月にわたるロシアの占領下で起きた拷問や殺害に関する証言が浮上している。

東部ハルキウ州の街バラクリヤで暮らすアルテムさんは、ロシア軍に40日以上拘束され、電気ショックによる拷問を受けたとBBCに語った。

苦痛と恐怖の「叫び声」

半年以上にわたりロシア軍に占領されていたバラクリヤは9月8日に解放された。残虐行為の拠点となっていたのは、ロシア軍が司令部として使用していた市内の警察署だった。

アルテムさんは、ほかの部屋から苦痛と恐怖による叫び声が聞こえてきたと証言した。

占領者たちはこうした叫び声が聞こえるよう、建物の騒々しい換気装置を止めたのだという。

「彼ら(ロシア軍)はみんなに電気ショックを受けた時の悲鳴が聞こえるように(換気装置を)止めていました」とアルテムさんは話した。「1日おきに一部の収容者にこういうことをしていました。(中略)女性に対しても」

アルテムさんも電気ショックを受けたが、1度だけで済んだという。

「2本の配線を持たされました」

「発電機がありました。速く動かせば電圧も上がります。『それを離したらお前は終わりだ』と言われました。そして尋問が始まりました。彼らは私がうそをついていると言って速度をさらに上げ始め、電圧も上昇しました」

アルテムさんは、軍服姿のきょうだいの写真をロシア軍が見つけたため拘束されたと話した。バラクリヤに住む別の男性は、ウクライナの国旗を持っていたという理由で25日間拘束されたという。

ある学校の校長を務めるタチアナさんは、警察署で3日間拘束された。その間、ほかの部屋から叫び声が聞こえたという。

私たちは警察署を訪れた。狭い部屋の壁には「主の祈り」の文字と、拘束された日数が刻まれていた。

ウクライナの警察官によると、2人用の部屋に最大8人が収容されていた。地元住民はロシア兵に捕まるかもしれないと、警察署の前を通り過ぎることにさえおびえていたという。

息子の殺害、「プーチンに聞きたい」

ウクライナ国旗が再びはためいているバラクリヤ中心部では、食料品を運ぶ小型トラックの周りに人だかりができていた。並んでいる人の多くは高齢者で、疲れ切った様子だった。それでも、ロシア軍を追い出してから初めて友人と抱き合うなど、うれしい再会の瞬間も見られた。

少し歩いたところにある、ひとけのない路地裏では、一部の犠牲者が近所の人たちによって急いで埋葬されていた。ペトロ・シェペルという名のタクシー運転手の墓には、粗末な木の十字架があった。隣に横たわっているのは身元不明の乗客だ。

警官が遺体を掘り起こして遺体袋に入れると、死臭が立ちこめた。

当局によると、ペトロさんと乗客はロシア軍の占領の最後の日に、ロシア軍の検問所で撃たれた。

ペトロさんの母ヴァレンティナさんは、遺体が掘り起こされるのを見守りながら、一人息子を殺したロシア人をののしった。

「プーチンに聞きたい。なぜ息子を撃ち殺したのかを」とヴァレンティナさんは叫んだ。

「何のために? 誰があのような脅威的な武器を持ってここに来るよう頼んだのか。あの人は私たちの子どもを殺しただけでなく、その母親である私たちをも殺した」

「近頃、自分はもう死んだようなものです。世界中の母親たちに言いたい。あの殺し屋に反逆しようと」

撤退直前にも破壊行為

バラクリヤへ向かう際、私たちは戦争支持派のシンボル「Z」がついた軍用車両を目にした。ロシア軍はこれらの車両を放棄して逃げたようだ。

近くの村では、大きな被害を受けた学校を見せてもらった。地元当局によると、ロシア軍が追い出される前に最後に行った破壊行為の1つだという。

ハルキウ州の行政トップ、オレ・シニェフボフ氏は廃墟にたたずみ、水と電気の供給を回復することが重要な課題だと述べた。また、送電線が攻撃される懸念があるとした。

ロシア軍が戻ってくる可能性はあると思うかとBBCが尋ねると、シニェフボフ氏はこう答えた。「我々は戦争のただ中になる。危険は常に存在する」。


(英語記事 Accounts of Russian torture emerge in liberated Ukraine

提供元:https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-62886563

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