2022年10月6日(木)

BBC News

2022年9月15日

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米アウトドア用品大手パタゴニアの創業者は14日、同社を慈善トラストに引き渡すと発表した。利益のうち、事業に再投資しない分は今後すべて、このトラストを通じて気候変動対策に充てられるという。

創業者のイヴォン・シュイナード氏83によると、トラストが運用する資金の規模は、パタゴニアの経営状態によるものの、年間1億ドル(140億円)ほどになる。

パタゴニアは1973年創業。ハイキングなどのアウトドア用品店を世界各国で展開している。シュイナード氏の純資産は12億ドルと言われている。

シュイナード氏はウェブサイトに掲載した声明で、「地球のリソースは、莫大ではありますが無限ではありません。そして、私たちがその限界を超えてしまっていることは明らかです」と説明した。

「自然から価値あるものを収奪して投資家の富に変えるのではなく、パタゴニアが生み出す富をすべての富の源を守るために使用します」

パタゴニアはすでに、年間の売上高1%を環境保護活動家らに寄付しているほか、持続可能な経営に腐心してきたという。シュイナード氏はこの取り組みをさらに強化するため、当初はパタゴニアを売却してその売却益をすべて寄付するか、新規株式公開(IPO)に踏み切ることを考えていたが、それでは経営方針「を維持できないと判断したという。

「どんなに素晴らしい志のある公開会社でも、短期的な利益を得るために長期的な活力や責任を犠牲にしなければならないという過剰なプレッシャーにさらされます」

結論として、パタゴニアの議決権付株式全てをシュイナード一族が持つ「パタゴニア・パーパス・トラスト」に、残りの非議決権株式を環境保護団体「ホールドファスト・コレクティブ」に、それぞれ譲渡するという。これにより、「パタゴニア・パーパス・トラスト」の保有株式は、全体のわずか2%となる。

シュイナード氏は、「毎年、事業に再投資を行った後の剰余利益を配当金として分配することで、パタゴニアから環境危機と闘うための資金を提供」すると説明した。

他の企業でも

大企業の創業者が資産を慈善目的で手放している例はほかにもある。昨年には、美容品・栄養食品ブランドを手がける英ハット・グループのマシュー・モールディング氏が、同社の上場に伴い、1億ポンドを慈善団体に寄付した。

モールディング氏は、上場で得た富は「理解できないほどの額」だったとし、世の中を変えるために使おうと思うと話した。

また、米マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏は今年、世界の長者番付から「落ちる」ことを約束。自身の持つ慈善団体に200億ドルを寄付した。

ゲイツ氏の総資産は1180億ドルと言われている。同氏は2010年に資産を慈善活動に投じると約束したものの、その資産は当時から2倍以上に増えている。

(英語記事 Billionaire boss of Patagonia gives firm to charity

提供元:https://www.bbc.com/japanese/62910391

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