2022年10月7日(金)

BBC News

2022年9月22日

»著者プロフィール

アメリカの中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)は21日、0.75%の大幅利上げを発表した。これにより、同国の政策金利の誘導目標は過去15年で最高水準の3~3.25%となった。

FRBは5回連続で利上げに踏み切っている。政策金利が3%を超えるのは2008年初頭以来。インフレ抑制と引き換えに厳しい経済低迷が見込まれるとの懸念が高まる中での決定となった。

併せてFRBが発表した見通しでは、政策金利は年末までに4.4%に達し、来年も上がり続けるとしている。

FRBのジェローム・パウエル議長は、金利引き上げは需要を抑えるために必要な措置であり、価格上昇圧力を緩和し、長期的な経済への打撃を避けることにつながると述べた。一方で、そのためには犠牲が伴うと認めた。

「インフレーションを終わらせなければならない。(中略)痛みなくそうできればよかったが、そのような方法はない」

世界各国は自国のインフレ問題に立ち向かうため、日本と中国を除くほとんどの国で、アメリカと同様に利上げに踏み切っている。

英中央銀行のイングランド銀行も、22日の金融政策会議で7回連続の利上げを決定する見込み。インドネシアやフィリピンも、金利を引き上げようとしている。

アナリストらは、世界的な金利上昇によって当局の予想以上に経済が低迷するのではないかと心配している。

通常、2四半期連続で経済が縮小するとリセッション(景気後退)と定義される。経済分析会社オックスフォード・エコノミクスのグローバルマクロ調査主任、ベン・メイ氏は、2023年の世界経済は、新型コロナウイルスのパンデミックの影響を受けた2020年を除く過去10年超で最も低迷する見込みだと指摘した。

「高水準のインフレを長期間認めるか(中略)経済をリセッションに追い込むかの2択になりつつあることは明らかだ。各国中銀は、経済をリセッションに追い込んでインフレを目標値に戻すことを選んでいる」

適度なインフレは健全だとされるが、急上昇すると家計や企業が収支計画を作りづらくなり、消費が衰える。その結果、経済成長が滞り、最終的には生活水準が下がってしまう。

この時、中銀が家計や企業の借り入れコストを上げると、車や住宅、事業拡大といった大型支出が減り、価格上昇圧力が抑えられるとされている。

一方で、金利が上がると人々が支払う住宅ローンや融資、クレジットカードの負債などの金額も上昇する。また、経済活動が抑えられるため、失業を含む経済への打撃にもつながる。

アメリカのインフレ率が過去40年で最高水準を記録する中、FRBは現在、現代史上もっとも速いペースで利上げを行っている。

FRBは当初、パンデミックによるサプライチェーン問題が解消されれば、インフレ問題も緩和されるとみていた。しかしロシアのウクライナ侵攻で石油などの供給が滞った結果、問題はむしろ増えてしまった。

アメリカの8月のインフレ率は8.3%。住宅や医療、教育費が特に上がった。一方で賃金の上昇率はインフレに追いついておらず、家計を苦しめている。

FRBは、今年のアメリカ経済は0.2%の成長にとどまるものの、来年には1.2%拡大すると予想。半面、失業率は4.4%まで上昇する見込みだ。

また、インフレ率が目標の2%に戻るのは2025年だとみている。

パウエル議長は、対策を取らないと経済はさらなる打撃を受けると述べた。

「金利が上がれば経済成長は減速し、労働市場は縮小し、社会全体が痛みを受ける。しかし価格安定を取り戻さなければさらなる痛みを受けるし、ここに戻ってきてもう一度同じことを繰り返すことになる」

多くのアナリストは、アメリカが来年リセッション入りするとみているが、打撃は少ないとみている。しかし、ウクライナでの戦争を受けたエネルギー供給リスクにより、厳しいリセッションになる可能性を指摘する声もある。

(英語記事 US interest rates raised to highest in 14 years

提供元:https://www.bbc.com/japanese/62990283

新着記事

»もっと見る