2022年12月2日(金)

BBC News

2022年11月5日

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ポール・カービー、BBCニュース

ロシア軍の幹部らが先月、ウクライナで核兵器を使う可能性について協議したと、米CBSニュースが2日、米政府関係者2人の話として伝えた。

BBCが提携するCBSによると、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はこの協議に参加していなかったという。

こうした報道を受けて米政府は、核兵器使用の可能性についてここ数カ月間、「一段と懸念を高めている」とした。ただ、ロシアが使用の準備をしている兆候は見られないと強調した。

西側の情報当局はこれまでに、ロシアが核兵器を移動させている動きはないとの見方を示していた。今回の米政府の見解は、これと一致する。

ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は、西側が「ことさらにこの話題を膨らませている」と非難した。ただ、10月中旬にロシア軍の高官が協議したのは、タイミングとして大きな意味をもつ。

プーチン氏は9月下旬までに、核兵器にからめた西側に敵対的な発言をエスカレートさせていた。ロシアと、併合したウクライナ占領地を守るためには、あらゆる手段を用いると述べていた。

プーチン氏は「これは、はったりではない」と言い、西側が核の脅しを始めたと非難した。そして、ロシアの兵器は北大西洋条約機構(NATO)のどの兵器よりも近代的だと自慢した。

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ロシアが核兵器の使用について協議したという米メディアの報道を受け、米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー報道官は、「その(核使用の)可能性に対する私たちの懸念は、この数カ月でますます高まっている」と述べた。

戦場でロシアの勢いが衰えるにつれ、核の脅威は増しているようにみえる。

ロシアは、ウクライナが放射性物質を混ぜた「汚い爆弾」を準備していると非難している。一方、ウクライナと西側諸国は、ロシアがそうしたことを言うのは、その種の兵器を使った場合にウクライナを非難する準備をしているからだとしている。

ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は、アメリカ、トルコ、フランスの国防相にわざわざ連絡し、ウクライナの疑惑について話をした。ロシア国防省はそれに合わせ、証拠だとする写真を提出したが、すぐにスロヴェニア政府が、その画像は同国の放射性廃棄物管理当局のものだと指摘。写っているのは2010年の煙探知機だと説明した。

ここ数週間、国際社会は核使用に関するロシアの基本原則に注視してきた。特に、ウクライナの戦場で使われるかもしれない「戦術」核兵器を、どのような状況ならロシアが使う可能性があるかが焦点となってきた。

戦術核兵器は、戦闘で使用するための武器。これに対して、大型の「戦略」核兵器は大量破壊を目的としている。

国家存亡の危機なら使用可と

ロシアが先週行った定期的な核演習では、敵の核攻撃に対して、大規模な戦略核兵器で報復するというシナリオが想定された。プーチン氏は、ロシアの核の基本原則について、防衛のための核使用しか認めていないと力説した。

しかし、ロシア安全保障会議のドミトリー・メドヴェージェフ副議長は1日、基本原則に含まれるもうひとつの要素、つまり国家存亡の危機における核使用について言及した。メドヴェージェフ氏は、ウクライナの戦争目的はかつての領土すべての奪還であり、それはロシアにとっては存亡の危機だと指摘した。

メドヴェージェフ氏の言葉は、大統領に影響を及ぼさないかもしれない。それでも彼の発言は、プーチン氏の考え方を反映している。プーチン氏は、ウクライナ南部と東部の広い地域は、ロシアが正式に併合を宣言したことで、たとえ国際社会が認めなくとも、ロシアの領土になったと認識している。

ロシア外務省は2日の声明で、ロシアが「通常兵器を使った侵略を受け国家の存立が危うくなった場合」、対抗措置として核兵器を使用する権利があると繰り返した

イギリスのベン・ウォレス国防相は、ロシアがウクライナの戦場で戦術核兵器を使用すれば「深刻な影響」が出るだろうと発言した。それがどのようなものか推測はしないと、イギリス下院で述べた。

ロシア対外情報局(SVR)のセルゲイ・ナルイシキン長官は先週、ロシアがウクライナで核兵器を使用する可能性をきっぱりと否定するようBBCに求められると、西側の議論を非常に懸念していると主張。ウクライナの指導層が核兵器を手に入れようとしていると非難した。

(英語記事 Russian commanders discussed using nuclear arms - US

提供元:https://www.bbc.com/japanese/63509086

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