2022年12月2日(金)

BBC News

2022年11月9日

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アメリカの中間選挙は8日夜、すべての州で投票が締め切られ、開票が進められた。下院は野党・共和党が過半数を獲得し、与党・民主党から主導権を奪還する勢い。上院は接戦となっている。ジョージア州では上院選が決着せず、来月上旬に決選投票となる見通し。

ジョー・バイデン大統領が率いる民主党は、上下両院で多数を握って来たが、今回の選挙では共和党の優勢が予想されていた。下院はそれに近い結果となっているが、上院は接戦州のペンシルヴェニア州で共和党から議席を奪うなど、民主党が善戦している。

インフレによる生活費の高騰、経済、人工妊娠中絶の権利などが主な争点となった。下院は全435議席が改選され、上院は定数100のうち35議席が改選となる。多くの州で知事選なども実施された。

BBCが提携する米CBSニュースによると、接戦が見込まれていた上院は、共和党が選挙前から1議席でも増やせば掌握できる状況だが、共和党が民主党から議席を奪い取った州はまだない。民主党は、厳しい戦いとされていたニューハンプシャー、ワシントンの各州などで議席を守った。

民主党はまた、ペンシルヴェニア州の上院選で、ジョン・フェターマン候補が、共和党のメフメト・オズ候補を破り、同党が握っていた議席を奪取した。身長約2メートルで入れ墨をしたフェターマン氏は、ハーヴァード大学を出て小さな町の首長を務めてきた。テレビ司会者で医師のオズ氏を下した。




一方、共和党は、オハイオ、ノースカロライナ州などで上院の議席を守っている。

上院をどちらの党が握るかは、激しい争いを繰り広げてきたジョージア、ネヴァダ、アリゾナ各州の結果で決まる状況となっている。

そうしたなか、ジョージア州の選管当局は、12月上旬に上院選の決選投票が実施されるのはほぼ確実だとした。

同州の法律では、どの候補者も50%以上の票を獲得しなかった場合、上位2人の候補者による決選投票となる。

同州では、共和党のハーシェル・ウォーカー候補が、民主党現職のラファエル・ワーノック上院議員に挑んでいる。ウォーカー氏は元アメフトのスター選手で、ドナルド・トランプ前大統領の支援を受けている。

今回の中間選挙は、不正があったと多くの根拠のない主張がなされた2020年大統領選と、それに続く昨年1月の連邦議会襲撃事件以降で初めての、連邦レベルの選挙。

バイデン大統領は、民主主義そのものが危機にあると訴えてきた。

もし共和党が上院か下院を掌握すれば、バイデン氏の政策に沿った法案はすべて反対される可能性があり、バイデン氏にとっては困難な政権運営が予想される。

両党の現職議員や共和党フロリダ州知事が当確

CBSニュースによると、ケンタッキー州の共和党現職ランド・ポール上院議員、サウスカロライナ州の共和党現職ティム・スコット上院議員が、フロリダ州の共和党現職マーコ・ルビオ上院議員がそれぞれ当選確実となった。

フロリダ州では、共和党現職のロン・デサンティス知事が圧勝。同知事は2024年大統領選で、共和党の指名をトランプ前大統領と争うとの見方が出ている。トランプ氏は同知事に立候補しないよう呼びかけている。

一方、ワシントン州では、民主党上院議員を長年務めてきたパティ・マリー氏が、共和党新人のティファニー・スマイリー氏の強力な挑戦をかわした。

ニューハンプシャー州では、民主党現職のマギー・ハッサン上院議員が、共和党のドン・ボルダック候補を破った。ボルダック氏は、トランプ氏が敗れた2020年大統領選の結果を認めないと公言してきたが、自らの敗北については受け入れると述べた。

ペロシ下院議長が19回連続当選

民主党のナンシー・ペロシ下院議長は、カリフォルニア州で19回連続で下院議員への当選を決めた。同党の戦いぶりについて、慎重ながら楽観的な見方を示した。

「多くが接戦のままだが、民主党の下院議員や候補者が全国で期待を大きく上回ったのは明らかだ」

ペロシ氏はまた、すべての票が集計されるよう求めるとともに、「すべての有権者に発言権を与えた」として、ボランティアたちに感謝した。

ペロシ氏の夫ポール氏は2週間ほど前、カリフォルニアの自宅で暴行を受けた。そのため、民主党下院トップのペロシ氏の今後が不安視されている。

今回の選挙で、事前の予想どおりに共和党が下院の主導権を握れば、ペロシ氏は議長の座を失うことになる。

一方、共和党の下院トップのケヴィン・マカーシー院内総務は、「みんな夜更かししているが、明日起きたら私たちが多数派になり、ナンシー・ペロシは少数派の所属となる」と演説。共和党が下院を掌握し、「アメリカを軌道に戻す」とした。

マカーシー氏はトランプ氏から、共和党が下院で多数派となった場合の議長に推されている。下院議長は下院議員の投票で決まる。

「勝利は自分のおかげ」とトランプ氏

トランプ氏は8日夜、共和党が議会を制するだろうとの予測を、保守系メディアのニュースネイションで述べた。

トランプ氏はまた、「共和党が勝てば、すべて僕のおかげだと評価されるべきだ。もし負ければ、まったく僕のせいじゃない」と発言。

「通常は、共和党がうまくいけば僕はなにも称賛されず、悪い結果はぜんぶ僕のせいにされる」、「だから僕は全てに備えていて、自分自身を守る」と話した。

フロリダ州のデサンティス知事が勝利したことについては、トランプ氏は自らの貢献によるものだとし、2019年に知事に当選したのも同氏の支持があったからだったと述べた。

そのうえで、「彼はもっと丁重な姿勢を示せたはずだ。ただ、それは彼次第だ」とした。

トランプ氏はこの日、フロリダ州パームビーチの投票所で、デサンティス氏に投票したと記者団に話した。

初のZ世代議員、同性愛女性知事ら誕生へ

CBSニュースは、フロリダ州で民主党の25歳の下院議員候補マックスウェル・アレハンドロ・フロスト氏が当選確実となり、Z世代として初の連邦議会議員になると伝えた。

フロスト氏は共和党のカルヴィン・ウィンビシュ候補を破る見通し。民主党の固い地盤となっているフロリダ州第10選挙区を守ることになる。

今回の選挙では、Z世代の候補としてはフロスト氏のほか、ニューハンプシャー州の共和党の下院議員候補キャロライン・レヴィット氏がいる。

2018年中間選挙と2020年大統領選では、若い有権者が多数投票した。

一方、アーカンソー州の知事選では、トランプ政権で大統領報道官を務めた共和党のサラ・サンダース候補が当選確実になったと、CBSニュースが報じた。同州初の女性知事となる見通し。サンダース氏は、同州のマイク・ハッカビー元知事(共和党)の娘。

マサチューセッツ州の知事選では、同性愛者だと明らかにしている民主党のモーラ・ヒーリー候補が当選を確実にした。同州初の女性知事で、女性同性愛者の知事はアメリカで初めて。

ヒーリー氏は弁護士で、同性結婚を禁じる州法は問題だとした初の訴訟を率いた。2014年には、同性愛者だと公言する人物として初めて州司法長官に当選した。


民主党上院トップらも当確

CBSによると、ジョージア州では、共和党現職のマージョリー・テイラー・グリーン下院議員が当選確実となった。

グリーン氏はトランプ前大統領の熱烈な支持者。2020年大統領選におけるバイデン氏の当選を認めていない。新型コロナウイルスの各種対策を強く批判しており、パンデミックについて虚偽の発信をしたとして、ツイッターから一時的に利用禁止とされた。

ニューヨーク州では、民主党現職のチャック・シューマー上院院内総務が当選確実となった。院内総務は党の上院議員トップの役職。同州ではまた、民主党現職のアレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員も当選が確実となった。

民主党はコロラド州でも、現職のマイケル・ベネット上院議員が議席を守ることが確実になった。

カリフォルニア州の知事選では、民主党現職のギャヴィン・ニューサム知事が当選確実となった。同知事については、大統領選への立候補に意欲的だとみる向きもある。

選挙否定派は

CBSによると、ペンシルヴェニア州の知事選では、民主党のジョシュ・シャピーロ候補が当選確実となった。

シャピーロ氏は、共和党の選挙否定派ダグ・マストリアーノ候補と争っていた。選挙否定派は、トランプ氏が敗退した前回大統領選について、「盗まれた」などと虚偽の主張をしている。

マストリアーノ氏は、昨年の連邦議会襲撃事件の当日、議会への行進に参加していた。

中絶をめぐっても投票

今回の選挙では5つの州で、人工妊娠中絶をめぐる投票もあわせて実施された。

その1つの東部ヴァーモント州では、州憲法で人工妊娠中絶の権利を保護することを、圧倒的多数が支持する結果になると見込まれている。

支持者らは、州憲法を改正によって、州内での中絶が守られるとともに、避妊具の利用など他のリプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する権利)も保証されるとしている。

一方、反対派は、改正案の文言があまりにあいまいだと主張。妊娠後期の中絶も保護されるのではないかと危ぶむ人もいた。

ケンタッキー州では、州憲法から中絶の保護を削除する修正案が投票にかけられた。

初期の開票結果では、中絶賛成派がわずかに優勢となっている。賛成派の集会場所では、このニュースが流れると、歓声と抱擁、安堵(あんど)のため息が広がった。

(英語記事 Live Reporting

提供元:https://www.bbc.com/japanese/63564758

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