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BBC News

2022年11月14日

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アンソニー・ザーカー北米特派員

米中間選挙で、共和党の挫折が誰の目にも明らかになった。民主党が連邦上院で主導権を維持したのだ。これはどんな意味をもつのか。

投票日から4日たった12日夜、ネヴァダ州の上院選で民主党現職のキャサリン・コルテス・マスト氏が僅差で勝利し、ついに上院の勢力図が決定的となった。

これで民主党は50対49で多数派となることが決まった。残るジョージア州で共和党が勝利して同数になっても、民主党のカマラ・ハリス副大統領が決定票を投じることができる。

もちろん、この2年間も同じ状況だった。ジョー・バイデン大統領にとってはあと2年間、連邦裁判所を自らが指名する判事で満たし、政権スタッフをほぼ自分の思うように選ぶことが可能になった。

とりわけ重要なのは、連邦最高裁で判事の予期せぬ引退や死亡によって空席ができた場合、バイデン氏が指名した候補が後任に就くのを、共和党は阻止できなくなることだ。2016年には、当時の上院多数党だった共和党のミッチ・マコネル院内総務が、バラク・オバマ大統領が指名した候補の承認に関する公聴会をまったく開かなかった。そのことを民主党は記憶している。

ネヴァダ州で勝利したことで、12月6日にジョージア州で実施される上院選の決選投票は、主導権をかけた戦いではなくなった。それでもバイデン氏は、民主党が51議席を確保することは「単純によいことだ」と述べている。議席が多いほうが議会運営は楽になるし、2024年上院選は民主党にとって厳しい戦いになるとみられている。

下院は、確実とまでは言えないが、共和党が僅差で主導権を握る情勢だ。バイデン氏にとって頭痛の種となっている。

バイデン政権の立法課題は葬られ、共和党の監視がいっそう強まる。ただ、同党が内部的な不和から下院を効果的に掌握できないようなら、バイデン政権にとっては明るい兆しとなる。


歴史を覆すような今回の中間選挙の結果は、まだ確定していない。

バイデン氏の党内での地位は強化された。側近らは、2期目を目指す同氏の意向について、より自信を込めて語るようになっている。リベラル派のエリザベス・ウォーレン上院議員(マサチューセッツ州)ら、かつて大統領選でバイデン氏と党の指名を争ったライバルたちも、同氏を称賛している。

「この勝利はジョー・バイデンのものだ」とウォーレン氏は13日に話した。「大統領のリーダーシップの下で、私たちすべての候補者は、民主党が何のために戦い、何を実現するのかを語った」。

一方、ドナルド・トランプ前大統領は政治的にダメージを受けた。ただ、どれほど永続的な傷になるのかは不明だ。

民主党が上院での勝利を確実にした次の日、下院でまだ議席争いが続いている状況で、共和党の一部議員らはトランプ氏の責任をカメラの前で問い始めた。

しかし、その面々はおおむね、これまでもトランプ氏を批判してきた人たちだ。

トランプ氏の2度目の弾劾裁判で有罪票を投じたビル・キャシディ上院議員(共和党、イリノイ州)は、今回の選挙でトランプ氏が推薦した候補者らは「低調だった」と述べた。2020年大統領選でトランプ氏ではなく「ロナルド・レーガン」元大統領に投票したメリーランド州のラリー・ホーガン知事は、トランプ氏が今回の選挙で共和党に損害を与えたと話した。

真の試金石は、長年のトランプ氏の盟友たちが反旗をひるがえすかどうかだろう。サウスカロライナ州のリンジー・グレアム上院議員、下院保守派の議員連盟フリーダム・コーカスのメンバー、著名な共和党知事といった面々だ。

トランプ氏がそれらの人々の地元で集会を開いたとき、彼らは欠席するだろうか。トランプ氏が大統領選に立候補した場合、発言を控えるだろうか。トランプ氏を十分に支援せず、同氏の怒りを買うリスクを冒すだろうか。少なくとも今のところは、そうした兆候はない。

最近の報道によれば、トランプ氏の盟友たちは、議会で指導的立場になりたいと思う共和党議員らに対し、トランプ氏の大統領選立候補を公に支持するよう働きかけているという。

エリス・ステファニク下院議員(ニューヨーク州)は、すでにそうした行動を起こしている。最近の政治情勢にもかかわらず、もし同じ動きが広がるなら、共和党の野心的な政治家たちは自らの成功がトランプ氏の支持にかかっていると考えていることの表れかもしれない。

アメリカの政治風景は、ほんの1週間前とはかなり違っているように見える。

民主党は、自分たちの立ち位置がより確かなものになったと感じている。一方の共和党は、バランスを取り戻そうと奮闘している。しかし、最近の米政治の不確実性を考えると、そう遠くないうちに再び状況が揺らぐかもしれない。


(英語記事 What Democratic Senate means for Biden and Trump

提供元:https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-63619605

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