2022年12月8日(木)

BBC News

2022年11月14日

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ウクライナ南部ヘルソン州の州都ヘルソン市当局は13日、夜間外出禁止令と市外への移動制限をかけると発表した。ロシア軍撤退により祝賀ムードに包まれたヘルソン市だが、安全保障面の状況はなお厳しいままだ。

ロシア軍はドニプロ川の東岸に撤退しているものの、そこから西岸のヘルソン市に爆撃してくる可能性がある。

13日には、ヘルソン空港周辺に複数の爆撃があった。

11日のヘルソン市解放では、多くの市民がウクライナ国旗を掲げ、ウクライナ兵を歓迎した。祝賀ムードは12日まで続いた。

ウクライナはこの解放を、3月に首都キーウ近郊からロシア軍を退けたことに匹敵する、ロシアに対する国家的な大勝利と位置付けている。

ヘルソン市は2月24日の侵攻開始以降、ロシア軍が唯一占領した州都だった。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は9月、ヘルソン州を含む4州を一方的に併合すると宣言した。しかし、ロシア国防省は11月9日、ヘルソン市からの撤退を発表。11日に撤退を完了したとしている。

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ヘルソン当局は、13~19日の間、ドニプロ川を渡る移動を禁止すると説明。避難していた市民に対し、自宅に地雷や偽装爆弾が仕掛けられていないか確認できるまでは戻らないよう警告した。

ヘルソン州ではこれまで、ロシア軍の設置した爆弾による被害が相次いできた。

同州のヤロスラフ・ヤヌシェヴィチ知事は、「敵はあらゆるインフラ設備に爆弾を仕掛けた」と話した。

その上で市民に対し、混雑した場所を避けるよう指示。また、14日以降はウクライナ軍が市中心部の地雷撤去を開始するため、近づかないよう呼びかけた。

夜間外出禁止令は午後5時から翌午前8時までとなる。ウクライナ側の市当局は、ロシアが約3万人の兵士を撤退させた後、業務を再開している。

また、変装したロシア兵がなお市内に残っている可能性もある。一方で、占領中にロシア側に協力していた人物は今後、起訴されうる。


インフラへの影響

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシアはヘルソンの主要なインフラをすべて破壊したと発表。暖房や電気、水道、通信などが奪われていると述べた。

こうした中、ヘルソンへの主要物資の供給が徐々に始まっている。

ヤヌシェヴィチ市長によると、ヘルソン市と周辺地域の住民に火を起こすまきの配給が始まっているが、身分証と連絡先の提示が必要だという。また、6000個の小型ストーブを住民に配布する計画もある。

「ほとんどの家に電気や水が通らず、ガス供給にも問題が出ている」と、市職員のユリイ・ソボレウスキー氏は話した。


アライグマが捕虜に?

ウクライナによると、ヘルソンではロシア軍による略奪が相次いだという。ヘルソン動物園と思われる場所で、ロシア兵がアライグマの尾をつかんでケージに入れようとする様子を映した動画がソーシャルメディアで拡散されると、ウクライナの人々からあざけりの声が沸き上がった。

SNSでは、ロシアの捕虜となったとされるアライグマを英雄に見立てたミームが数多く拡散している。

また、ロシア人ブロガー、アンナ・ドルガレワ氏が「ヘルソンについて何か良いニュースが欲しいとと頼まれたのだが、本当に良いニュースといえば、私の友人がヘルソン動物園からアライグマを盗み出すことに成功したことくらいだ」と投稿したことについても、多くのジョークが生まれている。

ウクライナの動物愛護団体「UAnimals」のオレクサンドル・トドルチュク氏はフェイスブックへの投稿で、「ヘルソン動物園からアライグマを盗んだのは頭のおかしい兵士などではなく、ロシア司令部だ」と指摘。

「リャマやオオカミからロバやリスまで、ほとんどの動物をクリミアへ連れて行った」と述べた。

ワグネル、「裏切り者」をハンマーで殺害か

メッセージアプリ「テレグラム」に13日、ウクライナの捕虜となっていたロシアの雇い兵集団「ワグネル」の戦闘員が、ワグネルに「裏切り者」として殺される映像が投稿された。投稿があったチャンネル「Grey Zone」は、ワグネルと関係があるとみられている。この映像は独立した検証がなされていない。

「報復のハンマー」というタイトルのこの映像には、エフゲニー・ヌジンと名乗る男性が、頭にれんがを付けられた状態で登場。前線で「ロシア人と戦うため」にウクライナ側に脱走したが、11月11日に拉致されたと話した。その後、ヌジン氏にハンマーが振り下ろされた。

ヌジン氏はユーチューブに投稿された別の動画で、ウクライナ人ジャーナリストのユリイ・ブツゾフ氏に対し、ロシアの刑務所でワグネルに雇用されたと話していた。

この映像を、ワグネルのトップでプーチン氏の盟友であるエフゲニー・プリゴジン氏は称賛。「犬には犬死にを」と話し、ヌジン氏は「投降したのではなく、自分だけ逃げ出そうとした」ので「裏切り者」だと話した。

(英語記事 Kherson curfew and river ban in security crackdown

提供元:https://www.bbc.com/japanese/63619620

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