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BBC News

2022年11月19日

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米カリフォルニア州サンノゼの連邦地裁は18日、シリコンヴァレーで血液検査会社セラノスを設立し、投資家や病気の人たちへの詐欺罪などに問われていたエリザベス・ホームズ被告(38)に、禁錮11年を言い渡した。

ホームズ被告はセラノスについて、指先から採取した数滴の血液で、さまざまな疾患の有無が判断できると説明していた。企業価値は一時、90億ドル(約1兆円)に達していた。

陪審員は今年1月、ホームズ被告に有罪評決を言い渡していた

刑期は来年4月27日からだが、ホームズ被告は上訴するとみられている。

ホームズ被告の裁判は、テクノロジー企業の詐欺を司法がどれほど深刻に受け止めるのかの試金石とみられていた。

ホームズ被告はかつて、自力で成功した世界最年少のビリオネア(10億ドル以上の資産保有者)とされ、「次のスティーヴ・ジョブス」と呼ばれた。

スタンフォード大学を退学した19歳の時にセラノスを設立。病気の診断に革命を起こす技術だと主張し、企業価値は一気に上昇した。

しかし、それが事実ではないことが判明し、被告らは起訴された。同社はその後、2018年に解散している。

検察側はこの裁判で、ホームズ被告が検査機「エジソン」について、医師や患者を故意にミスリードしていたと述べた。セラノスは、エジソンがたった数滴の血液からがんや糖尿病を検出できると主張していた。

検察はまた、ホームズ被告が投資家らに企業の経営を大きく誇張して伝えていたと指摘した。

陪審員らは11件の罪状のうち、投資家に対する詐欺罪と通信詐欺罪3件の計4件について有罪と判断。これにより、最大で禁錮20年の刑が言い渡される可能性があった。

判決が言い渡される前、ホームズ被告は用意していたメモを読み上げ、涙ながらに投資家や患者に謝罪した。

「自分の過ちに絶望している。私のせいで、多くの人が何を経験したかと思うと、深く苦しんでいる」

「自分の過ちについて、自分の細胞のひとつに至るまで後悔している」

これに対しエドワード・ダヴィラ裁判長は、ホームズ被告は「素晴らしい」起業家だったと述べた上で、「過ちは普通だが、詐欺による過ちは許されない」と語りかけた。

また、詐欺スキームが「名声に毒された」ものだったのかと疑問を投げかけ、ホームズ被告の事件はシリコンヴァレーの企業幹部らへの「教訓」となるだろうと述べた。

その上で、ホームズ被告による詐欺の被害総額は1億2100万ドルに上ると指摘した。セラノスには、ジェイムズ・マティス元米国防長官やオラクルの共同設立者ラリー・エリソン氏、メディア王ルパート・マードック氏、ウォルマートの経営一族などの大物が投資していた。被告に課せられる損害賠償の金額は今後の審理で決まるという。

元セラノス最高幹部で、ホームズ被告と長年、恋愛関係にあったラメシュ・「サニー」・バルワニ被告も同様の罪で起訴されており、今夏に有罪評決が下っている。判決の言い渡しは12月になる予定。


ホームズ被告をめぐっては、家族や友人、セラノスの元従業員など130人以上が、情状酌量を求める書簡を判事に提出していた。

支援者たちの書簡は、ホームズ被告が昨年7月に生まれた男児の母で、現在2人目を妊娠中だと指摘。出産時期は分かっていないが、弁護団は出産まで入所時期を遅らせようとするとみられている。

ホームズ被告のパートナーのビリー・エヴァンズ氏は、「看守が見張るガラスの向こう側にいる母親と接しながら、息子が成長する未来」を恐れていると述べた。

セラノスへの投資で多額の預金を失ったエイリーン・レペラ氏はBBCの取材に対し、判決に「満足だ」と語った。

「この事件のすべての事実を考慮すれば、妥当な判決だと思う」、「ホームズ被告は、それが詐欺だと知っていて、大勢の命を危険にさらした」とレペラ氏は述べた。

(英語記事 Theranos founder Elizabeth Holmes jailed for fraud

提供元:https://www.bbc.com/japanese/63686150

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