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BBC News

2022年11月21日

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米コロラド州コロラドスプリングスで19日夜、LGBTQ(性的マイノリティー)の人々が集まるクラブで銃乱射事件があり、少なくとも5人が死亡、25人が負傷した。

警察によると、19日午後11時57分に最初の緊急通報が入った。クラブにいた「勇敢な」2人が襲撃犯を取り押さえたという。

警察は店内でアンダーソン・リー・アルドリッチ容疑者(22)を拘束した。その後、容疑者はけがの手当てを受けているという。

犯行にはロングライフルが使われたとみられている。現場では銃器2丁が見つかったとされる。

警察は犯行動機について示唆していないが、憎悪犯罪(ヘイトクライム)の可能性や、複数の人物が関与している可能性について捜査していくとした。

事件現場となった「クラブQ」は、自分たちのコミュニティーに対する「無分別な攻撃に打ちのめされている」とフェイスブックに書いた

ジョー・バイデン米大統領は、アメリカ人は「ヘイト(憎悪)を容認することはできないし、容認してはならない」と述べた。

コロラド州デンヴァー近郊の連邦捜査局(FBI)支部が地元警察に協力している。

消防署の広報担当者は、日頃から今回のような事態に備えて訓練していることから、被害者を非常に迅速に病院へと搬送できたと説明した。

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「勇敢な」クラブ客が容疑者を阻止

地元警察トップのアイドリアン・ヴァスケス氏は、容疑者に立ち向かって犯行を止めたクラブ客2人への感謝を述べた。

ヴァスケス氏は、「初期証拠や聞き取りによると、容疑者はクラブQに入ると、移動しながらすぐに居合わせた人たちに発砲し始めた」と、20日の記者会見で説明した。

「容疑者がクラブ内にいる間、少なくとも2人の勇敢な人物が容疑者に立ち向かって戦い、ほかの人達を殺傷し続けるのを阻止することができた。我々は彼らに本当に感謝している」

クラブQはフェイスブックページに、「銃撃犯を取り押さえ、この憎悪攻撃を終わらせた勇敢な客の迅速な対応」に感謝していると書いた。

銃を奪って取り押さえる

コロラドスプリングスのジョン・スザース市長は当時の状況について、クラブの客の1人が発砲した男の銃をつかみ、その銃で男を殴ったと説明した。

別の客は警察が到着するまで、男を抑えつけるのを手伝ったという。

市長は、クラブ客数人が発砲者に立ち向かったのは「信じられないほど勇気のある行為」だと述べた。

「警察に通報があったのは午後11時57分で、現場に到着したのは午前0時だった。驚くほど迅速な対応だった」と、市長は米CNNに語った。

「この事件は午前0時2分までに収まった。そうなったのは、少なくとも1人、おそらく2人の勇敢な人物が介入したことが大きい。彼らは男を取り押さえ、拳銃を奪い、(中略)それを使って男の動きを封じた。(中略)銃で撃つのではなく、銃で殴って動けないようにした」

「しかしこの事件は悲劇的な、恐ろしい犯罪だ。勇敢な人がいなければもっと、さらに恐ろしい事態になっていたかもしれない」と、市長は付け加えた。

クラブのオーナーの1人、マシュー・ヘインズ氏は米紙ニューヨーク・タイムズに対し、「何十人もの命が救われた」と語った。

性的マイノリティーが集うクラブ

クラブでは当時、ダンスパーティーが開かれていた。20日夜には、「トランスジェンダー追悼の日」のパフォーマンスイベントが予定されていた。

事件発生時にクラブにいたというジョシュア・サーマンさん(34)は、初めは銃声を音楽の一部だと思っていたと、地元紙コロラド・サンに語った。その後、クラブの更衣室に走って避難したという。

「(更衣室の)外に出たら、床の上に遺体や粉々になったガラス、壊れたコップが散乱していて、みんな泣いていた」

「あの男が私たちを殺しに来るのを防ぐものは何もなかった。なぜこんなことが起きなければならなかったのでしょうか。どうして? どうして、みんな命を失わなければならなかったのでしょうか」

クラブQの近くに住むサーマンさんは、同クラブは地元のゲイ・コミュニティーの重要な一部だったと話した。殺された人の中に知り合いもいるという。

ヘイトや暴力から「立ち直る力を示す」

コロラドスプリングスのスザース市長は、この事件は悲劇だと話した。

「我々は、過去にヘイトや暴力に直面しても立ち直る力を示してきた強いコミュニティーだ。そして今回も、我々はそうするだろう」

コロラドスプリングスでは2015年、クリニックで銃撃事件が発生し、3人が死亡、9人が負傷した。

2021年にはボルダーのスーパーマーケットで10人が死亡する事件が起きるなど、コロラド州ではこれまでにも銃乱射事件が複数発生している。

ジャレッド・ポリス州知事は、「銃撃犯を阻止し、その過程で人命を救ったであろう勇敢な人々」を称賛した。

自身もゲイであるポリス氏は、「コロラド州はLGTBQコミュニティーとこの悲劇の影響を受けたすべての人と共にあり、共に悲しんでいる」とフェイスブックに書いた。

バイデン大統領はホワイトハウスの声明で、「受け入れ、祝福するための安全な空間であるはずの場所が、恐怖と暴力の場に変わることは決してあってはならない。そういうことがあまりにも頻繁に起こっている。我々はLGBTQI+の人々に対する暴力を助長する不公正さを一掃しなければならない」と述べた。

世界中から哀悼の書き込み

クラブQのフェイスブックページには世界中からコメントや哀悼の意が寄せられている。

中には、同クラブは長年「自分の家のような」存在で、今回のニュースで「完全に打ちのめされた」と書き込んだ人もいる。

「とてもたくさんの素晴らしい人たちに出会い、夫とも文字通りそこで出会った。私にとってとても特別な場所。何年もの間、みんながいつも歓迎してくれて親切にしてくれた」

「このニュースにとても心を痛めている」とのコメントもある。

「クラブQは長い間、私たちのコミュニティーの中心だった。こんなことが起きて打ちのめされているし、怒りを感じる」

アメリカでは2016年に、フロリダ州オーランドのゲイ・ナイトクラブ「パルス」で49人が死亡し、50人以上が負傷する事件が起きた。当時、アメリカ史上最悪の犠牲者を出した銃乱射事件だった。

(英語記事 Suspect held after 5 killed at Colorado gay clubClub-goer used shooter's gun to subdue him - mayor

提供元:https://www.bbc.com/japanese/63698236

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