2022年12月9日(金)

BBC News

2022年11月23日

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アメリカの連邦最高裁は22日、ドナルド・トランプ前大統領が開示を拒み続けてきた納税記録について、下院委員会への開示を認めた。

アメリカでは大統領候補は納税記録を公表するのが1970年代以来の伝統になっていたが、トランプ氏は「会計検査中だ」などの説明を理由に、公表を拒み続けた。大統領就任後も、慣例を破り、納税記録を公表しなかった。

与党・民主党は多数派を維持する連邦議会で、トランプ氏について各方面から調査を重ねている。下院の歳入委員会は、2019年からトランプ氏の納税記録の閲覧を求め続けていた。

トランプ政権下の財務省は当時、開示を拒否。そのため、当時から民主党が多数派だった下院歳入委は、開示を求めて提訴していた。

首都ワシントンの連邦控訴裁が今年8月に、納税記録の開示を命令。トランプ氏側がその差し止めを最高裁に請求し、今月1日にはジョン・ロバーツ最高裁長官が、最高裁での審理を終えるまでは開示を一時的に差し止めるよう命令していた。

その上で最高裁は22日、下院委の訴えを認め、トランプ氏の納税記録開示を財務省に命令した。反対意見の公表はなかった。

これを受けて財務省は、2013~2018年のトランプ氏と、同氏がかかわる事業について、納税記録を下院に示すことになる。

11月8日の中間選挙を受けて、来年1月から下院は共和党が多数党に戻る。共和党が多数の下院は、トランプ氏についてのこれまでの様々な調査を継続しないだろうと、広くみられている。

トランプ氏は2024年大統領選に出馬すると発表したばかり。それに先立ち、一族会社の事業がニューヨーク州やニューヨーク市で複数の捜査対象になっている。18日には、米司法省がトランプ氏に対する刑事捜査について、特別検察官を任命したと発表した。トランプ氏は一切の違法行為を否定している。

トランプ氏は、下院歳入委の調査についても、政治的動機によるものだと批判している。

BBCのアンソニー・ザーカー北米担当記者は、トランプ氏は訴訟を長引かせることで時間切れ、試合終了に持ち込もうとしたし、民主党にとっては今回の最高裁判断は、試合終了のブザーが鳴るぎりぎり直前でシュートを決めたようなものだと評した。

下院の与野党が1月3日に入れ替わるまで時間はわずかだが、「数週間もあればトランプ氏について、何か異例の、場合によっては不適切な会計処理の証拠を見つけられるかもしれないし、その内容が世間にもれるには数週間もあれば十分かもしれない」というのが民主党側の本当の狙いだったのかもしれないと、同記者は指摘している。

民主党の主張は

下院歳入委は、税務当局が大統領候補を適切に監査しているか知るため、トランプ氏の納税記録を見る必要があると説明。トランプ氏が大統領退任後も納税記録の提出を拒否したことについて、「政治的動機による調査だと言われるたびに」行政府や司法府への監督権限を立法府が行使できないことになると主張していた。

さらに、最高裁への訴えの中で下院は、「トランプ前大統領のように数百の事業体を持ち、納税記録が異例なほど複雑で、租税回避策をきわめて積極的に駆使し、税務監査が続いているとされるような大統領について、現行の税制はどう対応すべきか定めていない」とも主張していた。

最高裁とトランプ氏

現在の連邦最高裁(判事9人)はトランプ氏が指名した判事3人を含め、保守派6人、リベラル3人という構成になっている。その最高裁は今回の納税記録開示命令に先立ち、今年2回、トランプ氏に不利な判断を下している。

10月には、トランプ氏の自宅兼リゾート施設「マール・ア・ラーゴ」に対する連邦捜査局(FBI)の家宅捜索について、最高裁は判断を差し控えた。

1月には、昨年1月の連邦議会襲撃事件を調べる下院特別委員会に、国立公文書館が公文書を証拠として提出することについて、トランプ氏による差し止め請求を退けた。

(英語記事 Trump taxes: Supreme Court clears Democrats to see returns

提供元:https://www.bbc.com/japanese/63725462

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