2022年12月9日(金)

BBC News

2022年11月24日

»著者プロフィール

シャムーン・ハフェズ、BBCスポーツドーハ・ハリファ国際スタジアム

それは彼らでなければならなかったのだろう(文中一部敬称略)

サッカー・ワールドカップ(W杯)で23日、日本がドイツを2-1で破った。サッカーは興味深い物語を残す競技だが、この試合ではドイツのクラブでプレーしている日本人選手2人が、まんまとゴールを決めたのだった。

サウジアラビアが20日にアルゼンチン相手に歴史的勝利を収めたのに続き、カタールでまた大きな衝撃が走った。

ドイツ代表選手らがカリファ国際スタジアムを静かに後にした一方、日本代表は歓喜に沸く観客の前で勝利を祝った。

「夢がかなった」と、決勝点を挙げた浅野拓磨はBBCラジオ5ライブに語った。「このチームはできるとわかっていた。こういうことを夢見ていた」と。

「サウジアラビアの試合を見て、自分たちならできると思っていた。そして今日やり遂げた」

主将で元サウサンプトンDFの吉田麻也は、「大きな勝利、とてつもない勝利だ。だが、この先も大変だ。本当に素晴らしい結果だが、謙虚さと慎重さが必要だ」と話した。

「世界水準に届きつつある」

日本のファンたちは、試合の前も最中も後も、元気な声を上げた。

スタジアムに向かう地下鉄の中で、日本チームのサポーターのタケさんは、日本が2-1で勝つとの予想をBBCスポーツに語った。その時は説得力はなかったが、今となっては見事な正しさだ。

サムライブルーのサポーターたちは、スタジアムの外のスポーツシティー駅で沸いていた。それはスタジアムの中まで続き、サポーター集団「Ultra Nippon」の旗の近くにいたファンたちは試合中ずっと声を合わせ、歌い、太鼓をたたいていた。

ドイツのファンたちは人数で大きく劣り、声の大きさでも圧倒されていた。唯一、大きな歓声を上げたのは、イルカイ・ギュンドアンがPKを決め前半1-0とリードしたときだった。

日本は前半、ゴール枠内へのシュートを1本も打つことができなかったが、後半は3本中2本を決め、見事に逆転した。

<関連記事>


「まるでホームゲームのようだった」と、名古屋近郊から来たというサポーターは試合後、BBCスポーツに語った。「日本は真のファイティング・スピリットを示した」。

試合後にピッチで選手と円陣を組み、快活な様子で話をした日本の森保一監督も、選手たちの闘争力をたたえ、こう述べた。

「私たちは世界水準に届きつつある」、「アジアのサッカーの実力を見せている。向こうには素晴らしいゴールキーパーがいるが、こちらの選手はとても頭脳的だった」

「失点したときも、私たちは同じことを続けた。粘って、前に進む。チームとして本当によく戦った。最後の1分までタフでなければならず、そうすればこの瞬間をつかめる」

「日本の選手たちが本当の実力をつけてきたことを示せたかもしれない」

「奇妙な大会」

イングランド代表のストライカーだったクリス・サットン氏は、「なんと奇妙なW杯か。なんと奇妙な試合か」とBBCラジオ5ライブで語った。

「日本は前半だめで、ドイツが試合を支配していた。ところが日本は突然、自分たちのプレーを見せてきた。浅野が見事なフィニッシュで(GKの)マヌエル・ノイアーをかわし、ボールをゴールネット上部へと蹴り込んだ」

「日本が頑張ったことで、このグループは本当に面白くなった。日本は貴重な勝利を収めたし、ドイツは挽回が必要だ。このグループは今、どこが勝ち上がるわからない」

ドイツ代表でストライカーと監督を務めたユルゲン・クリンスマン氏は、「ドイツにとっては非常にまずいことになった。スペインと同じグループにいるので、事態はいっそう厄介だ。グループリーグを突破できない恐れもある。そうなる必要はなかったと思う」とBBCスポーツに話した。

「ドイツは基本的に順調だったが、テンポやパス回しのギアを上げられなかった。あまりにスローで無気力だった。後半になると日本が攻撃性と鋭さと積極性のレベルを上げて活力を取り戻し、勝利は当然だった」

「歴史的瞬間」

日本は先発メンバー11人のうち5人がドイツでプレーしている。さらに、途中出場でゴールを挙げた堂安律(フライブルク)と浅野(ボーフム)もドイツクラブの所属だ。

もし、日本がベスト16に進出し、過去4度優勝の王者ドイツが2大会連続でグループリーグで敗退することになれば、気まずいやりとりがあるかもしれない。

ドイツは今回、こうなるはずではなかった。

2018年のW杯では、やはりアジアの韓国に足をすくわれ、決勝トーナメントに進めなかった。今回はハンジ・フリック監督と選手にとって、罪滅ぼしの戦いだった。

しかし、日本はプレッシャーに耐え、ボール保持率わずか26%でドイツを破った。ドイツがW杯で先制点を挙げながらも敗れたのは26試合ぶりで、最後は1994年だった。

森保監督は「歴史的な瞬間であり、控えめに言っても大きな勝利だと思う。日本サッカーの発展について言えば、私たちは力をつけているし、選手たちは海外に出て行っている」と付け加えた。

「それら(海外)のリーグが日本人選手の実力アップに貢献していると思う。そのことにとても感謝しているし、敬意をもっている。しかし相手に関係なく、私たちは勝ちに行く」

「多くのドイツ人、多くの優秀な選手やトレーナーが、日本のサッカーに貢献し、支援してくれている。今日、日本は勝った。だが日本はこれからもドイツと世界から学び、プレーしていきたい。それが私たちの将来に向けた考えだ」

データサービス会社Optaによると、強豪スペインとコスタリカとの試合を残しているドイツが決勝トーナメントに進出できる確率は、わずか37%だという。

ドイツにとってこの日の日本戦は、1978年6月以降で初めて、W杯で前半リードしながら敗れた試合となった。

落胆したフリック監督は、「もちろん、この敗戦と勝ち点0でプレッシャーがかかっていることはわかっている。それは間違いない」と話した。

「自分たちの責任だ。私たちはこの状況から抜け出さなくてはならず、勇気と決定力をもつしかない」

(英語記事 Japan humbling Germany shows 'beauty of football'

提供元:https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-63737290

新着記事

»もっと見る