2022年12月9日(金)

BBC News

2022年11月25日

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イヴェット・タン、ジョナサン・ヘッド、BBCニュース

マレーシアの新首相に、ベテラン野党指導者のアンワル・イブラヒム元副首相が24日、就任した。アンワル氏は2度の投獄を経験しながら、四半世紀にわたって首相の座を目指してきた。

アンワル氏はこの日午後、国王によって首相に任命され、就任を宣誓した。首相の給与を放棄し、汚職と経済への対策を進めると約束した。

マレーシアでは19日にあった総選挙で、どの政党も過半数を獲得できず、新政府が樹立できない状況になっていた。

アンワル氏が率いる野党連合の希望連盟(PH)が最大議席を獲得したが、単独で政権を担うのに十分な議席は確保できていない。

選挙後の5日間、政府樹立に向けた激しい交渉が続けられ、さまざまな政党の組み合わせや連立の形が議論されては否定された。

多くの政治家たちの間で人間的、思想的な違いが小さくなく、多数派の形勢が困難だった。

そのため最後は、立憲君主のアブドラ国王がすべての政治指導者を王宮に呼び、共通点を見つけるよう求めた。

アンワル氏は、他の2つの政治連合の協力を得て過半数議席を確保し、「国民統合政府」を樹立すると述べた。

演説に優れるアンワル氏は、与党だった統一マレー国民組織(UMNO)の一党政治を終わらせることを目標に、政治改革の運動を率いてきた。

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25年前、当時のマハティール・モハマド首相の後任は、急速に頭角を現していたスター政治家で副首相のアンワル氏だろうと、誰からもみられていた。

しかし、アジア通貨危機への対応をめぐって両者は対立。アンワル氏は汚職と同性愛行為の罪で投獄された。この事件は政治的なものとの見方が大勢だ。

2004年に有罪判決が覆され、アンワル氏は政界に復帰。自らの改革派政党を率い、2013年総選挙ではもう少しでUMNOを破るところまで迫った。しかし、再び同性愛行為の罪に問われ、2015年にまたも刑務所に送られた。

その後、政府系投資会社1マレーシア・デベロップメント(1MDB)の資金不正流用スキャンダルで当時のナジブ・ラザク首相への批判が強まると、政界を引退していたマハティール氏が復帰し、アンワル氏と和解。両氏の影響もあって、2018年総選挙では史上初めて与党が敗れ、アンワル氏は国王から恩赦を受けた。

すでに90代だったマハティール氏は、将来的に首相職を譲るという取り決めをアンワル氏との間で結んだうえで、首相に就任した。しかし2020年にこれが破棄され、アンワル氏はまたもトップの座に就けなかった。

厳しい前途

アンワル氏は今回、ついに目標を達成したが、前途はかなり多難だ。経済は新型コロナウイルスによって打撃を受けており、関係が最も険悪な政敵と協力しなくてはならない。

アンワル氏は、首相給与は受け取らないと約束。物価上昇に対処し、汚職と闘うとしている。

また、議会を任期制にし、首相任期は最長10年にするなどの改革を実施したいと述べている。

アンワル氏率いる改革派の希望連盟による政権発足は、マレー系以外のマレーシア人に、いくらかの安堵(あんど)感を持って迎えられるとみられる。

対立する政党連合の国民同盟(PN)は、保守的なイスラム政党PASが支配している。非マレー人は、PASがより宗教的で寛容さの小さい政府をつくることを恐れていた。

アンワル氏は、より多元的で包括的な国にすることを目標に掲げている。しかし、新政府が直面する他のすべての課題を考えると、それを前に進めるのは難しいだろう。

(英語記事 Malaysia's Anwar sworn in as PM after deadlock

提供元:https://www.bbc.com/japanese/63752337

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