2023年1月30日(月)

BBC News

2023年1月5日

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米連邦議会下院で、議長選出をめぐる混乱が続くなか、1人の新人議員にも注目が集まっている。経歴などを偽っていたことが発覚した、共和党のジョージ・サントス氏(34、ニューヨーク州)だ。初登院した3日には、同僚議員たちから疎まれたのか、議場で彼のそばに座ったのは子どもだけだった。

サントス氏は昨年11月の中間選挙で、ロングアイランドの一部とクイーンズでなる選挙区から下院議員に立候補し、民主党の議席を奪って当選した。しかし12月になって、米紙ニューヨーク・タイムズが経歴詐称について報じた

虚偽の中身は、大卒ではないのに大卒だと主張していたことのほか、不動産資産のでっちあげ、自らの信仰や家族歴をめぐる混乱に及ぶ。選挙期間中は、金融大手のゴールドマン・サックスやシティグループで勤務していたと述べていたが、12月末に米紙ニューヨーク・ポストに対して「直接勤めたことはない」と認め、「言葉の選び方がよくなかった」と弁明。

先祖がユダヤ人だと偽っていたという非難も出た。これについてサントス氏は、自らはカトリック教徒でありユダヤ人だと主張したことはないが、「母方の家族がユダヤ系(Jewish)だと知り、自分は『ユダヤ人っぽい(Jew-ish)』と言ってしまった」と、ニューヨーク・ポストに話した。

サントス氏は同紙で、他の経歴も大部分がうそだと説明。共和・民主両党から激しい批判を受けている。

しかし、自分は「犯罪者ではない」とし、今回のスキャンダルは下院議員の任期2年を全うすることを妨げないと主張。「私の罪は経歴を脚色したことだ」、「申し訳なく思っている」と、ニューヨーク・ポストの取材で語った。

サントス氏をめぐってはさらにその後、ブラジル当局が、2008年に盗まれた小切手の詐欺事件での捜査を再開する予定だと明らかにした。裁判記録によると、サントス氏はリオデジャネイロ近郊のニテロイ市で、偽名と盗んだ小切手を使って約700ドルを使ったとされる。ブラジル当局はサントス氏の所在を突き止められなかったため、捜査を中断していた。

米連邦と州の当局も、サントス氏の資産や矛盾した説明について調査すると表明している。

「うそつき」のを浴びる

3日に下院に初登院したサントス氏は、廊下で多くの記者に囲まれた。唯一、息を着けた議場では、ほとんどの時間、独りで座っていた。下院議長の選出で投票した際には、民主党議員から「メンティロソ」(スペイン語で「うそつき」)という大声が飛んだとされる。

ただ、こうしたいろいろなことがあっても、サントス氏の下院議員の宣誓就任を妨げはしない。

下院共和党の幹部たちも、この問題ではほぼ沈黙を守っている。

ケース・ウェスタン・リザーヴ大学(オハイオ州)のジョナサン・エンティン教授(憲法学)は、「宣誓就任をさせない根拠はないと思われる。彼は下院議員の法的資格を満たしている」と話した。

サントス氏は理論的には、下院で倫理委員会にかけられる可能性がある。しかし、同委員会は通常、現職議員の不正行為を審査する。サントス氏が虚偽の説明をしたのは、議員に就任する前だ。

エンティン氏は、サントス氏が刑事訴追されれば、下院が彼を除名するための素材としては「十分」かもしれないと話す。しかし、実際に除名するには、共和党が多数の下院で圧倒的多数の賛成が必要になるという。

除名の可能性はあるのか

共和党にサントス氏の除名をためらわせるかもしれない事情もある。除名すれば、民主党と激しく争う選挙区で補選が行われることになり、下院でぎりぎり多数の共和党にとっては、予断を許さない状況が深刻になりかねないからだ。

米ジョージ・ワシントン大学政治経営大学院で立法問題プログラムのディレクターを務めるケイシー・バーガット博士は、「この局面における政治は少し難しい。特にスキャンダルだらけの時代には、じっとしていればいずれ別の誰かが話題の中心になるし、そうすれば世間の関心は自分から移る、それだけのことだと思えてしまうからだ」と説明。

しかし、「彼を党内に残しておく場合、党の全般的な評判にとって利益より害悪のほうが大きい」という現実に、共和党はいずれ直面するかもしれない。バーガット氏はそう付け加えた。

議員の除名はまれだ。議会調査局(CRS)によると、これまでに除名された議員は下院5人、上院15人の計20人しかいない。大半は南北戦争開始時に、国に忠実ではなかったとして除名された議員たちだという。

また、当選前の行動を理由に除名できるのかは「重要な論点」だと、CRSは説明している。

共和党指導部はどうする

専門家たちは、サントス氏が下院を追放されるかどうかは明らかではないとする。ただ、下院幹部に問責される可能性は高いと、バーガット氏はみている。

問責のような措置は、単純な過半数で実現できる。共和党にすれば、自分たちの議員を追放することを避けながら「公然と叱る」ことで、「両方にいい顔を見せる」ことができると、バーガット氏は話した。

サントス氏は自らの行為の結果として、議会で孤独な日々を引き続き過ごすことになるかもしれない。

経歴詐称の結果、サントス氏とかかわりたくない同僚議員と関係維持がおそらく難しくなる。共和党の指導部が、彼を重要な委員会に配属しないことも考えられる。

サントス氏の過去をめぐる疑惑は噴出し続けている。そのため、共和党はこの問題への対応を急がないだろうと、バーガット氏はみている。

「彼のうそはまだ底をついていないように思える」と同氏は話した。

(英語記事 Lonely days at the Capitol for George SantosRepublican George Santos admits lying on his CVUS lawmaker facing probes for lying about resumeBrazil revives fraud charges against George Santos

提供元:https://www.bbc.com/japanese/64171640


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