2023年1月30日(月)

BBC News

2023年1月10日

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回顧録が10日に出版された英王室のサセックス公爵ハリー王子は8日放送の英ITVによるインタビューで、妻メガン妃を激しく攻撃した新聞コラムについて、王室が沈黙を続けたことを批判した。

英大衆紙サンは昨年12月、人気司会者ジェレミー・クラークソン氏がサセックス公爵夫人メガン妃を「憎んでいる」、「(メガン妃が)いつの日か、イギリスのすべての町村を裸で行進させられる日を夢見ている」などと激しい調子で書いたコラムの掲載について、謝罪した。

回顧録「スペア(予備)」の発売に合わせたテレビ・インタビューでハリー王子はこれに言及し、コラムは「僕の妻に対してひどい、攻撃的で残酷」なものだったとして、「世界は王室に何かコメントして欲しいと思っているのに、(王室の)沈黙はすさまじい。控えめに言っても」と批判。「(婚約から)もう6年たつのに、僕の妻に関するあらゆることについて、(王室は)何一つ言っていない」と述べた。

王子は、サン紙のコラムに対する王室の無反応を、昨年11月末にバッキンガム宮殿で起きた王室職員と黒人社会活動家とのやりとりが問題になった一件と比較。この時は故エリザベス女王の側近だった王室関係者が、バッキンガム宮殿の集まりに招かれたイギリス出身の黒人慈善活動家に対して「本当は」どこから来たのか繰り返し尋ねるなどしたことが明らかになり、謝罪するとともに王室での職を辞任した。

黒人慈善団体の創設者、ンゴジ・フラニ氏は11月29日にバッキンガム宮殿のチャリティー・イベントに招かれ出席した際、自分はイギリスで生まれ育ったと説明したものの、「あなたの国籍は?」、「あなたは本当はどこから来たの?」、「あなたはいつここに来たの」など、レディ・スーザン・ハッシーに繰り返し質問されたことを、ツイッターで明らかにした

王室はただちに謝罪し、レディ・スーザンは辞職。さらに12月16日には2人がバッキンガム宮殿で再会する機会を王室は用意し、レディ・スーザンはフラニ氏に直接謝罪した。

ハリー王子はこれについて、レディ・スーザンには「何の悪意もなかった」と擁護した上で、クラークソン氏がコラムでメガン妃について使った激しい攻撃の言葉を比較し、英王室の無反応を批判した。

赤ちゃんの肌の色

ITVのトム・ブラッドビー記者は、メガン妃が第一子アーチーちゃんを妊娠中、生まれてくる息子の肌が「どれくらい黒くなるか」王室の1人がハリー王子に問いかけたのだと2021年3月の米CBS番組で言及した件について、ハリー王子に質問した。

ハリー王子は今回も、その発言をしたのが王室の誰かは特定しなかった。さらに、その質問は人種差別というより「無意識の偏見」によるものだったかもしれないと話した。

生まれてくる子供の肌の色についてそういう質問をすることは人種差別だと思うかと、記者に問われると、王子は「その家族の中で暮らしたわけではないので、そうは言わない」と答えた。

王室の一員が人種差別をしたと、CBS番組で自分が糾弾したのではないかと重ねて問われると、ハリー王子は「そう言ったのはイギリスのメディアだ」と述べた。

キャサリン妃との不和

インタビューはメガン妃が王室の一員になった当初から続く緊張についても触れた。ブラッドビー記者は、兄ウィリアム王子(現・皇太子)と妻のキャサリン妃は「ほとんどしょっぱなから」メガン妃と「うまくいかなかった」ようだという印象があると述べ、それは当を得た見解かとハリー王子に尋ねた。

すると王子は、「ええ、そうですね」と答えた。

王子は自分とメガン妃が、他の王族から「スポットライトを奪ってしまう」「新入り」扱いされ、それが王室内での人間関係に影を落としたと話した。

兄ウィリアム皇太子やキャサリン妃との関係について、「4人がうまくいってほしいとずっと願っていた」ものの、「たちまちメガン対ケイト」になってしまったと述べた。「ケイト」はキャサリン妃の愛称。

「それがあまりに公然と目にもあらわになると、隠れようがない」

95分間に及んだインタビューで王子は、自分が独身だったころは公務で兄夫妻「プラス1人」になることが多かったものの、当時の3人の関係は非常に良好で温かいものだったと話した。そのため、自分がパートナーを見つけた後は仲のいい四人組になれると期待していたものの、それは実現しなかったという。

「離婚経験者で、2つの人種ルーツをもつアメリカ人女優」というメガン妃に対するステレオタイプが、敵対的なマスコミ報道で悪化してしまったのだと王子は話した。そしてそのステレオタイプが障壁となり、兄夫妻はメガン妃を家族として「歓迎」しなかったのだと説明した。

兄王子は決して自分にメガンさんとの結婚をやめさせようとはしなかったものの、「多少の懸念」は口にして、「君は本当に大変な思いをするよ」と弟に警告したのだという。

「(ウィリアム王子が)何についてそう言ったのか、今に至るまで本当には理解していないのだけど、もしかしたら、イギリスのマスコミの反応を予測していたのかもしれない」

母親の死の影響

ハリー王子は、母ダイアナ元妃が1997年に急死したことの影響についても触れた。回顧録では、2007年にパリを訪れていた際に、母親が亡くなったトンネルを車で通過し、同じ速度で走ってもらったのだと書いている。

「僕はずっとそこが事故を起こしやすい、すごく危険な道路なんだと想像していた。でも実際には、ただの短いなんてことのない普通のトンネルで。あの中で誰かが死ななきゃならないなんて、ありえない場所だった」

事故について再調査を要求しても意味はないと思ったと王子は話したうえで、事故に関する公式見解は疑問視した。

イギリスの死因究明審問は2008年、事故原因について公式の結論を発表。それによると、飲酒運転中の運転手によるスピード出しすぎという「悪質な過失」が、元妃が不当に死亡した要因だったという。

ITVのインタビューでハリー王子は、「たとえ数杯飲んだ後だったとしても、あのトンネルで車が制御できなくなるなど、ハンドルを握りながらまったく目が見えていなかったのでないなら、そんなことはありえない」として、ダイアナ元妃を乗せた車を追尾していたパパラッチに運転手が気を取られたことが、事故の原因だったのではないかと言外に示唆した。

「事故の主な原因となった人たちは、誰も責任を取らされなかった」

母を失った直後に自分と兄ウィリアム王子は、自動車事故につながった経緯は「まるで自転車のチェーンのようなもの」だといわれたのだと、王子はインタビューで明かした。

「チェーンを構成する素子をひとつでも外せば、あのような結果にはならなかった」のだと、当時言われたのだという。そのときウィリアム王子が、母親の車をパパラッチが追いかけていなければどうなったかと尋ねると、「あのような結果にはならなかった」はずだと言われたのだという。

インタビューで王子は、いつの日か父や兄と和解することを期待しているとも述べた。

「許すのは100%可能性としてある。父を取り戻したいので。兄を取り戻したいので」

「でも現時点では、2人が誰なのか分からないし、おそらく向こうも僕が誰なのか分からないんだと思う」

王子は、イギリスの大衆紙を「敵対勢力」と呼び、大衆紙は「できる限り、いさかいを作りたがっている」と批判した。

回顧録「スペア」の出版に合わせて、ハリー王子はテレビ4社のインタビューに応じた。イギリスのテレビ局によるインタビューはITVのみで、他はアメリカのテレビ局。

米CBSニュースの「60ミニッツ」ではアンダーソン・クーパー司会者が取材し、ITV番組の後に放映された。米ABCの「グッド・モーニング・アメリカ」のインタビューは9日放送。CBSの深夜トークショー「レイト・ショー」には10日夜にゲスト出演する。

回顧録「スペア」の出版は10日だが、スペイン語版が予定より早く公表され、BBCはこれを入手した。

英王室は、本の中身についてコメントしないとしている。

(英語記事 Prince Harry attacks lack of royal defence for Meghan after Jeremy Clarkson column) 

提供元:https://www.bbc.com/japanese/64207145


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