2023年2月8日(水)

BBC News

2023年1月11日

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香港メディア界の大物で民主化活動家の黎智英(ジミー・ライ)氏の国際弁護団が9日、イギリスのリシ・スーナク首相に面会を求めた。現在、複数の有罪判決で服役中の黎氏は、今年9月に香港国家安全維持法(国安法)違反罪をめぐる裁判を受ける予定。

イギリス国籍を持つ黎氏は、外国勢力との結託や国家転覆の罪で起訴されており、終身刑を受ける可能性がある。

BBCが入手したスーナク首相への書簡で黎氏の国際弁護団は、「黎氏の釈放を勝ち取る方法」を議論したいと述べている。

また、黎氏の裁判について「非常に深刻」で「象徴的なもの」だと説明した。

黎氏は民主派タブロイド紙・蘋果日報(アップルデイリー)の社主だったが、当局によって廃刊に追い込まれ自身も社屋を違法に利用した詐欺や国安法違反の疑いなどで逮捕された。

昨年12月に詐欺罪で6年近い禁錮刑を受けたほか、一昨年12月には天安門事件の追悼集会に参加したとして13カ月の禁錮刑が言い渡されている。

黎氏の支持者は、これらの判決は政治的な動機によるものだと批判している。

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香港は1997年にイギリスから中国に返還された。その際、「一国二制度」を基本とする香港特別行政区基本法が制定された。これは、集会の自由や言論の自由など、中国のその他の地域では存在しない民主的権利を保護するものとなっている。

しかし中国政府は2019年の香港での民主派デモ以来、香港の公民権や言論の自由などへの取り締まりを強化。2020年6月には秩序回復のためとして国安法を制定した。これに反対する人々は、中国政府が法律を政治的な武器として使い、反体制派を黙らせていると指摘している。

現在では、香港の反体制派の大半が当局に拘束されているか、香港を脱出している。

黎氏は長らく、国安法の最大の標的とされてきた。イギリスに拠点を置く同氏の国際弁護団はこれまでに、過去2代の英外相に面会を要求。1人目はこれを拒否し、2人目は無回答だったという。

しかし今回の書簡によると、イギリス政府は今月初め、外務省の高官と弁護団との会談に合意した。

また、弁護団のキーレン・ギャラガー勅選弁護士は書簡の中で、昨年10月に黎氏が詐欺罪で有罪判決を受けた際、アメリカ政府は非難声明を出したが、イギリス政府は正式な声明を出さなかったと指摘している。

黎氏の国安法違反罪をめぐる裁判では、弁護人がまだ決まっていない。

黎氏は、イギリスの人権派弁護士ティモシー・オウエン勅撰弁護士を指名したものの、香港政府はこれに反対。中国政府は、国安法の裁判で外国人弁護人を禁じる権限を、香港政府トップの李家超(ジョン・リー)行政長官に与えた。最終的な判断はまだ示されていない。

当局は、外国勢力との結託や扇動といった黎氏の容疑の罪の重さを、殺人に匹敵するものと表現している。

香港の民主化のために多くを捨ててきた

黎氏の息子の黎崇恩(セバスチャン・ライ)氏はBBCの取材に対し、父親は収監されるべきではないと話した。

「父は、イギリスが香港を中国に返還したときに約束された香港の民主化のために、20数年間、多くのものを捨ててきた」

「父はイギリス国民であり、我々全員にとって極めて重要な、当たり前の価値観を擁護するために投獄されている」

崇恩氏は父親と同様、イギリス国籍を持っており、現在は台湾に逃れている。黎氏が国安法違反の疑いで逮捕されて以来、香港の自宅に戻れるか分からない状況だと言う。

崇恩氏はまた、黎氏はどんな犯罪もおかしていないと指摘した。

「犯罪というなら、それは父がこの件で刑務所にいることだ。これを無視し、声を上げないことこそ犯罪だ」と、崇恩氏はBBCに語った。

(英語記事 Jimmy Lai's UK lawyers call for Sunak meeting

提供元:https://www.bbc.com/japanese/64222633


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