2023年2月8日(水)

BBC News

2023年1月11日

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キリスト教カトリック教会のローマ教皇庁(ヴァチカン)前財務長官のジョージ・ペル枢機卿が10日、死去した。81歳だった。

オーストラリア出身のペル氏は2018年、未成年者に対する性的暴行の罪に問われ、2019年に禁錮6年の刑を受けた。

性的暴行で有罪判決を受けて収監されたカトリック教会の要職者としては最高位だった。ローマ教皇の最側近の1人で、事件はカトリック教会を大きく揺るがした。

その後、オーストラリアの最高裁判所がこの判決を覆したため、ペル氏は2020年4月に釈放された。

教会関係者によると、死因は腰部手術後の合併症だという。

教会3位の権力者から有罪判決、釈放

ペル氏はオーストラリアでメルボルンとシドニーの大司教を歴任後、ローマ教皇の側近となった。2014年にヴァチカンに招かれ、財務長官として財政改革を任された。一時はカトリック教会で3番目の権力者と呼ばれた。

しかし2017年に警察により嫌疑がかけられたのを機に同職を辞任し、オーストラリアに戻って裁判を受ける身となった。

メルボルン地裁の陪審は2018年12月、ペル氏が1990年代半ばにメルボルンの聖パトリック大聖堂で聖歌隊の13歳の少年2人を性的に虐待したとして、有罪評決を出した。

その後、逆転無罪となり釈放されるまで、13カ月間を刑務所で過ごした。

一方、一連の捜査により、ペル氏が1970年代には、教会内での児童性的虐待を知っていたにもかかわらず、対策を取らなかったことが明らかになった。

王立児童虐待委員会は、数年をかけて数千人に聞き取り調査を行い、2020年に報告書を発表した。ペル枢機卿はこの疑惑を否定し、「証拠に裏打ちされていない」と主張していた。

ピーター・コメンソリ・メルボルン大司教はペル枢機卿の死去を受け、「非常に偉大で、影響力の強い教会のリーダーだった」と追悼した。アンソニー・アルバニージー豪首相は、ペル枢機卿の死に「多くの人がショックを受けるだろう」と語った。

カトリック教徒のトニー・アボット前首相は、ペル氏は「現代の聖人」であり「時代の寵児(ちょうじ)」だったと述べた。また、枢機卿にかけられた疑惑は「現代のはりつけ刑」だったとした。

一方で、ペル氏が住んでいたヴィクトリア州政府のスティーヴ・ディモポロス氏は、複雑な心境を口にした。

「きょうは枢機卿の家族や愛する人にとって非常に困難な日だろう。一方で、児童性的虐待の生存者や被害者とその家族にとっても非常に困難な日だ。私の思いは彼らと共にある」

ペル枢機卿は、国内外で賛否の分かれる存在であり、それは本人も認めていた。

ペル氏は伝統的なカトリックの価値観を強く支持し、しばしば保守的な意見を述べ、司祭の独身主義を提唱。教会でも著名な存在となった。

2020年にBBCの取材に応じたペル枢機卿は、中絶などの問題に対する彼の「直接的」な考えと伝統的なアプローチが、一部の市民の反発を招いたことは「間違いない」と語った。

「私がキリスト教の教えを擁護することが、多くの人々をいらだたせている」と、ペル氏は述べていた。

(英語記事 Controversial Catholic cleric Pell dies aged 81

提供元:https://www.bbc.com/japanese/64232469


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