2023年2月8日(水)

BBC News

2023年1月12日

»著者プロフィール

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は11日、ウクライナ侵攻の指揮をとる総司令官を、就任からわずか3カ月で解任した。総司令官の交代はここ3カ月で2度目。

解任されたのは、シリアへの軍事介入で残忍な人物と評され、「アルマゲドン(最終戦争)将軍」の異名を持つセルゲイ・スロヴィキン将軍。昨年10月にウクライナ侵攻の総司令官に任命され、最近の残忍な攻撃を指揮してきた。

後任にはワレリー・ゲラシモフ軍参謀総長が選ばれ、プーチン氏が「特別軍事作戦」と呼ぶウクライナでの軍事侵攻を率いることとなった。

この配置転換は、ロシア側がここ数カ月間の戦闘で立て続けに敗北した後、ウクライナ東部で前進していると主張する中で行われた。

ゲラシモフ氏は2012年に軍参謀総長に就任。ソ連崩壊後のロシアで同ポストを最も長く務めている。

スロヴィキン将軍は今後、ゲラシモフ氏の下で副司令官となる。

スロヴィキン氏は冬の到来を迎えたウクライナでエネルギーインフラ破壊作戦を開始し、住民数百万人を電気も水道もない状態に陥らせた。また、南部の街ヘルソンからのロシア軍の撤退を指揮した。この撤退はウクライナ側にとって大きな成功となった。

配置転換の理由は

ロシア国防省はスロヴィキン氏の配置転換について、「軍隊の異なる部門間の連絡を緊密なものにし、ロシア軍の管理の質と効果を向上させる」ことが目的だと説明した。

しかし、スロヴィキン氏が権力を持ちすぎたことの表れだとみる向きもある。

軍事アナリストのロブ・リー氏は、「ウクライナ(侵攻)における統一部隊司令官として、スロヴィキン氏は非常に強力な人物になりつつあった。プーチン氏と話す際に(ロシア国防相のセルゲイ)ショイグ氏やゲラシモフ氏を通していなかったようだ」とツイートした。

ロシアのタカ派の軍事ブロガーの中には、「特別軍事作戦」の新責任者となったゲラシモフ氏らロシア軍指導陣を強く批判する者もいる。こうしたブロガーはウクライナでの戦争を支持しながらもその遂行方法を頻繁に批判している。

<関連記事>


ウクライナ東部で戦闘続く

総司令官の交代は、ウクライナ東部の町ソレダールで戦闘が続く中発表された。

ソレダールはウクライナ東部ドネツク州にある小さな塩鉱山の町で、ロシア軍が戦略的に重要視する街バフムートから約10キロの位置にある。ソレダールを掌握すれば、ロシア軍はバフムートを射程圏内とする、安全な砲撃場所を確保する可能性がある。また、地下の採掘トンネルを、ウクライナ軍のミサイル攻撃からの避難や、部隊の駐留、装備品の保管に利用することも可能になる。

ソレダールに雇い兵を投入しているロシアの民間雇い兵組織「ワグネル・グループ」は、ソレダールにおける「襲撃」に加わっているのはロシア軍に属さないワグネルの戦闘員だけだと主張している。

ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジン氏は10日夜、「ワグネルの部隊がソレダールの全領土を制圧した」と主張した。しかし、ロシア国防省は11日にプリゴジン氏の主張を否定する内容の声明を発表した。

これを受けてプリゴジン氏は11日夜、同じ主張を繰り返した。メッセージアプリ・テレグラムに投稿した短い声明の中で、ワグネルの雇い兵がウクライナ側の約500人を殺害したと豪語した。「街全体にウクライナ兵の遺体が散乱している」。

ウクライナのハンナ・マリャル国防次官は先に、「我々の陣地へ向かう道のりには敵の戦闘員の遺体が散乱している。我が軍の兵士は勇敢に防衛している」と述べている。

これらの主張は独自に検証できていない。

ロシア国防省と雇い兵組織に亀裂か

ソレダール周辺での直近の出来事をめぐり、ロシアの公式見解に食い違いが生じている。これは、とりわけワグネルと国防省の間で亀裂が生じていることを示唆している。

一方でウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ソレダールは陥落していないとしている。

ゼレンスキー氏は11日夜のビデオ演説で、「テロ国家とそのプロパガンダを広める者」が、ソレダールで何らかの成功を収めたかのように「見せかけようとしている」が、「戦闘は続いている」と述べた。

「我々はウクライナの防衛強化のために1日も休むことなく、あらゆることを行う。我々の潜在能力は高まっている」

(英語記事 Russia replaces commander of Ukraine invasion force

提供元:https://www.bbc.com/japanese/64245012


新着記事

»もっと見る