2023年2月8日(水)

BBC News

2023年1月13日

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イギリスのミシェル・ドネラン文化相は11日、大英博物館に展示されている古代ギリシャの大理石彫刻について、「イギリスに所属するものだ」と発言した。

「エルギン・マーブル」として知られる彫刻は、古代ギリシャ・アテナイのパルテノン神殿を飾っていた装飾の一部。19世紀にイギリスの外交官が持ち帰り、イギリス政府が買い取った。

この彫刻をめぐってはこのところ、大英博物館のジョージ・オズボーン館長が返還についてギリシャ側と交渉していると報じられている。

ギリシャは長年、エルギン・マーブルの返還を求めてきた。

世界の美術館・博物館業界では現在、過去に略奪などによって外国に持ち出された工芸品などを、元の場所に戻す動きがある。

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ドネラン文化相はBBCのラジオ番組に出演した際、恒久的な返還は「オズボーン館長の意図するところではない」との見解を示した。

また、ギリシャにエルギン・マーブルを返還すれば「災いを呼ぶ」ことになり、「危険な道を下ることになる」と指摘。「イギリスの博物館のあらゆる所蔵品に疑問を投げかけるきっかけになるだろう」と話した。

一方、ギリシャ紙「タ・ネア」は昨年12月、オズボーン氏とギリシャ政府との協議が「進展した段階」にあると報じた。

大英博物館は、イギリスの法律によって所蔵品の恒久的返還はできない。しかし今回の交渉では、ギリシャ国外で一度も公開されたことのない古典的な品々と引き換えに、彫刻がアテネに貸し出される可能性があるとの憶測が出ている。

しかしドネラン文化相は、一連の法律は「正しく機能している」ため変える必要がないと主張。こうした姿勢がギリシャ側の怒りを買う可能性がある。

文化相は、オズボーン館長と「何度か話をした」とし、「この点についてのオズボーン氏の見解は誤解されているようだ。間違った描かれ方をされてるのは確かだ」と語った。

「オズボーン氏は基本的に、彫刻を送り返すつもりはない。それは彼の本意ではないし、そんなことをする気もない。100年貸与という構想もあるが、これもオズボーン氏の計画ではないことは確かだ」

「彫刻を返還すべきではないという私の意見に、オズボーン氏も賛同するだろう。実際、あの彫刻はここイギリスに所属する。非常に長い間エルギン・マーブルを整備し、アクセスできるようにしてきたのはイギリスだ」

BBCは、オズボーン館長にコメントを求めている。

これとは別に、ギリシャのキリアコス・ミツォタキス首相は11日、彫刻を取り戻すための取引は差し迫っていないと述べた。

一方で、ギリシャ文化省は先に、「大英博物館の彫刻に対する管轄権、所持および所有権を認めない」のが同国の「確固たる立場」だと述べている。

大英博物館の広報担当者は、コレクションを 「解体」することはないと述べた上で、「長期的なパートナーシップを検討中であり、それによって我々の最も素晴らしい作品のいくつかを世界中の観客と共有することができるようになる」としている。

また、「パルテノン・パートナーシップに関するギリシャとの話し合いは継続しており、建設的だ」と付け加えた。

イギリスで、パルテノン神殿の彫刻を1カ所に集めるための「ウィン・ウィン」の解決策を求める運動を行っている「パルテノン・プロジェクト」は、ギリシャ政府との取引は国民に支持されていると指摘。「オズボーン館長が提唱する解決策について、聴く耳を持つ必要がある」と述べている。

同プロジェクトの広報担当者は、「政府はこれまで、これは大英博物館の問題だと明言してきた。しかし、大英博物館とギリシャの建設的な話し合いが確認された今、政府は考えを改めつつあるようだ」と話した。

(英語記事 Parthenon marbles belong in UK - culture secretary

提供元:https://www.bbc.com/japanese/64246422


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