
ネパールで15日朝、首都カトマンズから中部ポカラに向かっていた旅客機が墜落し、少なくとも68人が死亡した。同国において、過去30年で最悪の航空機事故となった。
墜落したのは、同国のイエティ航空691便。地上から携帯電話で撮影された映像には、飛行機が空港に向かいながら大きく旋回している様子が映っていた。
墜落の原因はまだ分かっていない。
捜索・救助活動にはネパール軍の兵士数百人らが派遣された。捜索活動は夜にいったん打ち切られた。16日朝にも再開される見通し。
旅客機は、空港から1キロほどのセティ川の渓谷に墜落した。地元テレビ局は、焼け焦げた機体の周りにいる救助隊の姿を放映した。
乗客は68人で、少なくとも15人の外国人が含まれていた。乗員は4人だった。外国人の内訳はインド人5人、ロシア人4人、韓国人2人、アイルランド人、オーストラリア人、アルゼンチン人、フランス人が1人ずつ。
この墜落で乗員乗客72人のほとんどが亡くなったが、数人が重体ながら生存しているという未確認の情報もある。
ネパールのプシュパ・カマル・ダハル首相は16日を追悼の日とすると発表。また、原因究明に向けた調査委員会を設置した。
近隣に住むクム・バハドゥル・チヘトリさんは、旅客機が空港に向かう様子を屋根の上から見ていたとロイター通信の取材で話した。
「飛行機が左右に揺れ、それから突然、頭から渓谷に落ちていった」
事故現場近くに住むディヴヤ・ダカルさんは、15日午前11時過ぎに飛行機が墜落するのを見て、現場に走っていったという。
「私が着いた時には人だかりができていた。機体から大きな煙が上がっていた。すぐにヘリコプターがやってきた」と、ダカルさんはBBCに話した。
「パイロットは、市街地や住宅を避けようと最善を尽くしたと思う。(中略)セティ川のそばには小さな空き地があって、飛行機はその狭い空間に落ちた」
ネパールでは航空機事故は珍しくない。遠隔地に滑走路があることや天候の急変が、危険な状況を生み出しやすいという。
ヒマラヤ山脈を擁するネパールは、世界でも有数の、飛行機が運航しづらい地形を有している。
過去のネパールの墜落事故では、新しい機体への投資不足や、不十分な規制も批判された。
2022年5月には、タラ航空の旅客機がネパール北部に墜落し、22人が亡くなった。その4年前には、バングラデシュからカトマンズに到着した飛行機が着陸の際に炎上し、51人が亡くなっている。
今回墜落した旅客機に乗っていたトリブフヴァン・パウデルさんのきょうだいのチランジビさんは、ネパールの空の安全を改善する対策が必要だと訴えた。
「航空会社は罰金を受けるべきだし、政府の規制当局も責任を負うべきだ」と、チランジビさんはBBCニュースに話した。
欧州連合(EU)はネパールの航空会社に対し、訓練と保守基準への懸念があるとして、EU空域への進入を禁じている。
(英語記事 Nepal mourns victims of worst air disaster in decades)