
ドイツ西部のリュツェラート村に、炭鉱の拡張とそれに伴う廃村に反対する気候変動活動家らが立てこもっていた件について、ドイツ警察は15日、ほぼ全ての活動家を排除したと発表した。
炭鉱拡大に伴い廃村が決まっているリュツェラートには、活動家約300人が立てこもり、計画に反対していた。
警察は11日からリュツェラートで活動家の排除に乗り出した。しかし、14日には、抗議に集まった活動家らと衝突した。
警察は発表で、樹上の小屋などに立てこもっていた活動家らを立ち退かせたと説明。一方、地下トンネルになお2人が残っていると話した。
また、13日までに35カ所の「樹上の構造物」と30近くの木製の建造物を撤去したという。
リュツェラート村は、独エネルギー大手RWEが運営する露天掘りのガルツヴァイラー褐炭鉱の近くにある。最後の住民は1年前に退去している。
活動家らは、リュツェラートと近隣の村は取り壊すべきでなく、その地下にある石炭も地中に残すべきだと主張。石炭を燃やせば、ドイツでの温室効果ガス削減努力を無駄にしてしまうと指摘している。
ドイツ政府は、石炭火力発電からの撤退期限を2038年から2030年に前倒ししている。そうした中、リュツェラートは、ガルズヴァイラー炭鉱に飲み込まれる最後の村になるとされている。
RWEは、今冬にもリュツェラート地下の石炭が必要になるとしている。
14日の衝突では、警察は放水銃や警棒を使って活動家らを排除しようとした。
活動家団体側の救護員によると、約20人が負傷して病院に搬送された。警察の報道官は、11日の立ち退き開始以来、警官70人が負傷したと発表している。
スイスの気候変動活動家グレタ・トゥーンベリさんもこの抗議に参加し、警察による排除を「警察の暴力」だと非難した。
活動家団体は、14日の抗議には3万5000人が参加したと発表している。警察は1万5000人としている。