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2023年1月18日

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フィラン・チャタジーBBCニュース

オゾン層を守ろうとする人間の行動は、期待どおりの効果を上げており、今後数十年のうちにオゾン層が回復するかもしれない――。国連がこのほど、こうした報告をまとめた。

報告書によると、オゾン層を破壊していた有害化学物質の使用をやめるとした、1987年の国際合意が功を奏しているという。

オゾン層は、地球の大気にある薄い層で、太陽からの紫外線の大半を吸収している。

オゾン層が破壊されれば、紫外線が地表に届くようになり、人間などの生物に害を及ぼす可能性がある。

紫外線はDNAを傷つけ、日焼けを引き起こす。皮膚がんなどの長期的なリスクも高める。

オゾンホール発見と回復への取り組み

オゾン層の破壊は1970年代に始まった。

スプレー缶や冷蔵庫、発泡断熱材、エアコンなどでよく使われているクロロフルオロカーボン(フロンガス、CFC)が、オゾン層を侵食しているとされた。

1985年になって、オゾン層の穴(オゾンホール)を科学者らが発見。その2年後には「モントリオール議定書」が採択され、46カ国が有害化学物質を段階的に削減すると約束した。

同議定書はその後、国連で初めて全会一致で批准された取り決めとなった。現在までに、禁止されたオゾン層破壊物質のほぼ99%が廃止されている

南極のオゾンホールは2000年まで広がり続けた。しかしその後、面積、深さともに徐々に改善し始めた。

2066年ごろにはすべて回復か

国連、アメリカ、欧州連合(EU)の関係機関が共同作成した今回の報告書は、モントリオール議定書が期待通りの効果を上げているとしている。

そして、現在の取り組みが継続されれば、場所によってタイミングは異なるものの、オゾン層は1980年の値(オゾンホールが出現する前の値)まで回復するとしている

回復の場所と時期は次のとおり。

  • オゾン層破壊が最もひどかった南極上空では2066年
  • 北極上空では2045年
  • その他の地域では約20年後

オゾン層の破壊は、太陽放射の影響が強まるため有害だが、気候変動の主な原因ではない。

それでも、オゾン層を守ることは地球温暖化対策でプラスの効果を生んだと、報告書は示唆している。段階的に削減された有害化学物質の中には、強力な温室効果ガスも含まれているからだ。

科学者たちは、有害化学物質が毎年3%ずつ増加した場合と比べると、こうした削減によって、今世紀半ばまでに最大で摂氏1度の温暖化を防ぐことになるとしている。

今回の報告書は朗報だと高く評価されている。環境危機の回避を目的とした、国際的で素早い行動が効果を生む証拠だとの意見も出ている。しかし、オゾン層の改善が続くと保証されているわけではないと、報告書は警告している。

例えば、何百万トンもの二酸化硫黄を大気圏上層に送り込んで地球温暖化を抑制する「成層圏エアロゾル注入」は、オゾン層の回復を劇的に後退させる恐れがあるとしている。

(英語記事 Ozone layer may be restored in decades, UN says

提供元:https://www.bbc.com/japanese/64300774


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