
欧州11カ国が19日、ウクライナ支援に関する会合をエストニアで開き、追加の兵器供与を表明した。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の求めに応じた。
ウクライナへの追加の軍事支援を表明したのは9カ国。共同声明で、各国の以下の支援が示された。
- イギリス - ブリムストーンミサイル600発
- デンマーク - フランス製カエサル自走榴弾(りゅうだん)砲19基
- エストニア - 榴弾砲、弾薬、支援車両、対戦車グレネードランチャー
- ラトヴィア - スティンガー防空システム、ヘリコプター2機、ドローン
- リトアニア - 高射砲、ヘリコプター2機
- ポーランド - S-60高射砲、弾薬7万発
- チェコ - 榴弾砲、装甲兵員輸送車(APC)、大口径の弾薬の増産
このほか、オランダが20日に発表を予定。スロヴァキアも追加支援を約束した。
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一方、アメリカも19日、25億ドル(約3215億円)相当の追加支援を明らかにした。ブラッドレー装甲車59台、ストライカー兵員輸送車90台、アヴェンジャー防空システムなどを供与する。ウクライナが求めてきた戦車は含まれていない。
アメリカなど西側50カ国でつくる「ウクライナ防衛グループ」は、20日にドイツで会合を開き、兵器供与について調整する。
英米の支援強化の姿勢
イギリスのベン・ウォレス国防相は、「2023年は、ウクライナがロシアを押し返した勢いを成果に変える時だ。(中略)ウクライナからロシアを追い出し、国際法で守られているウクライナの主権を回復する時だ」と述べた。
アメリカの国防総省は声明で、最近のロシアの空爆について、「ウクライナにおけるロシアの残忍な戦争の壊滅的な影響」を見せつけるものだと主張。アメリカが新たに供与する兵器は、それらの攻撃を止めるのに役立つだろうとした。
また、アメリカの支援はこれまでに267億ドル(約3.4兆円)を超えているとした。
ドイツ戦車の供与が焦点
西側諸国が20日にドイツで開く会合では、ウクライナに重戦車を供与するのか、する場合はどの国が主体となるのかが焦点になるとみられる。
ウクライナは、ドイツ製レオパルト戦車を前線に送るよう求めている。ゼレンスキー大統領は、アメリカによる「強力な軍事支援パッケージ」など、追加の兵器供与に関する「力強い決定」を期待すると述べた。
ドイツのオラフ・ショルツ首相は、ウクライナに戦車を供与するか、第三国が供与するのを認めるよう、国内外から圧力を受けている。
ポーランドとフィンランドは、所有するレオパルト戦車をウクライナに供与すると表明している。ただ、実行するには製造国ドイツの承認が必要だ。
ポーランドのマテウシュ・モラヴィエツキ首相は、ドイツが承認する可能性について「やや悲観的」だと述べた。
ゼレンスキー大統領も19日夜、ドイツの消極姿勢を指摘。「私たちは今、戦車に関して準備された協力の連鎖を起動させる、ヨーロッパの1つの国の決定を待っている」と訴えた。
ドイツ政府筋はロイター通信に、まだどの国からも戦車の再輸出の承認に関する要請を受けていないと話した。
ウクライナへの戦車の供与を最初に表明したのはイギリスで、陸軍のチャレンジャー2を14台送ると約束している。