
世界陸連(WA)の監視機関「陸上競技インテグリティー・ユニット(AIU)」は19日、2021年の東京オリンピックで、ベラルーシ女子陸上選手を強制帰国させようとした疑いのある同国代表チームのコーチを、不適切行為などで告発したと発表した。
クリスティナ・ティマノフスカヤ選手は、代表チームのコーチを批判した後に、自分の意思に反して羽田空港に連れていかれたと主張していた。
ティマノフスカヤ選手は身の安全に不安があると羽田空港の空港警察に保護を求め、出国便に搭乗しなかった。その後、ポーランドから人道査証(ビザ)を発行され、同国に亡命した。
この問題について、国際オリンピック委員会(IOC)とWAは2021年10月、ベラルーシ代表のコーチを務めていたユーリ・マイセヴィチ氏とアルトゥル・シュマク氏の調査を開始していた。
AIUは今回、「東京五輪のベラルーシ代表ヘッドコーチ」だったマイセヴィチ氏を3件の不適切行為について告発した。
「ティマノフスカヤ選手の五輪からの排除という状況に関して、AIUは以下の3点を疑っている。マイセヴィチ氏が誠意をもって行動せず不誠実に行動したこと、選手の尊厳を守らず言葉や精神的な嫌がらせに当たる行動を起こしたこと、そして陸上競技全般の評判を落としたことだ」
「AIUの重要な役割は、アスリートを保護し、ハラスメントから守ることだ。AIUはこの問題を徹底的に調査し、品位・行動規範の違反について判断すべき事例だと考える」
一方、シュマク氏は告発されなかった。
ティマノフスカヤ選手はオンラインに動画を投稿。東京五輪では女子200メートルに出場する予定だったが、400メートルリレーの一部選手に出場資格がないことが分かり、同種目に出場するよう急きょ指示されたと主張した。
ベラルーシ国営メディアはティマノフスカヤ選手を批判。国営テレビONTは、同選手に「チーム精神」が欠けていると非難した。
ティマノフスカヤ選手は、代表チームのコーチ2人が自分の部屋にやってきて、羽田空港に向かうためすぐに荷造りをするよう言われたとした。
ベラルーシ当局は、同選手をチームから外したのは「感情や精神の状態」が理由だとしていた。