
2月までに辞任すると表明したニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相(42)の後任に、クリス・ヒプキンス教育相(44)が就任する見通しとなった。22日に開催される与党・労働党の議員総会で、正式に党首に選出される。
労働党党首選の立候補は21日に締め切られた。立候補したのはヒプキンス教育相のみだった。
ニュージーランドは10月14日に総選挙を控えており、ヒプキンス氏がいつまで首相にとどまるのかは不明。
ヒプキンス氏は2008年に国会議員に初当選。2020年11月に新型コロナウイルス担当相に任命された。
現在は教育相、警察相、公共サービス担当相を兼務している。
ヒプキンス氏が22日の議員総会で新党首に承認されれば、アーダーン氏は2月7日、チャールズ英国王の代理を務める総督に正式に辞表を提出し、総督がヒプキンス氏を首相に任命する。
キリ・アラン法務相がマオリ族初の首相となる可能性は、当面なくなった。
労働党の次期党首が、10月の総選挙後も首相の座にとどまるには、苦しい戦いを強いられることになる。
複数世論調査によると、インフレや社会格差の悪化により、アーダーン氏の支持率は過去最低に落ち込んでいる。また、労働党に対する国民の支持率も同様に低いことが示されている。
労働党が総選挙で敗北した場合、ヒプキンス氏が国のリーダーとして過ごせるのはわずか8カ月となる。歴代最短の首相在任期間は、第4期ハリー・アトキンソン政権(1884年8月28日から9月3日)の7日間。
「十分な余力ない」
アーダーン首相は19日、国を率いる「十分な余力がない」として、2月7日までに最大与党・労働党の党首を退くと述べた。
2017年に37歳で当時世界最年少の女性首相に就任したアーダーン氏は、この5年半は人生で「最も充実した」ものだったと述べた。
一方で、「平時に国を率いるのと、危機の最中に国を率いるのは別物だ」とした。
アーダーン氏は、新型コロナウイルスのパンデミックやその後のリセッション(景気後退)、2019年3月にクライストチャーチのモスクで起きた銃撃事件、同年12月のホワイト島での火山噴火など、様々な局面で舵取りをしてきた。
辞任表明をめぐっては様々な反応があり、「追い出される前に逃げ出した」との声もある。
しかし、ニュージーランドの有名俳優サム・ニール氏は、「他人をいじめる人間」や「ミソジニスト(女性嫌悪者)」が「みっともない」態度で首相を攻撃していると批判した。