2023年2月2日(木)

BBC News

2023年1月25日

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ドナルド・トランプ米政権で国務長官を務めたマイク・ポンペオ氏が24日に発売された回顧録の中で、2019年2月にインドとパキスタンがカシミール地方をめぐり「核戦争」に突入「しかけた」と述べている。自分たちが両国をたしなめ、危機は回避されたとつづっている。

ポンペオ氏は回顧録「Never Give An Inch: Fighting for the America I Love」(一歩も引かない:愛するアメリカのために戦う)の中でポンペオ氏は、「2019年2月にインドとパキスタンの対立が核戦争に突入する寸前まで行ったことを、世界が正しく理解しているとは思わない」と述べている。

「真実は、私も正確な答えは知らないが、あまりにも寸前だったことは知っている」

また、ヴェトナムの首都ハノイで「核兵器について北朝鮮と交渉していた」首脳会談の夜、「インドとパキスタンが、数十年にわたる北部国境地帯カシミール地方の紛争に関連して互いに脅迫し始めた」ことを「決して忘れないだろう」と述べた。

インドとパキスタンは共に核保有国。1947年にイギリスから独立し、分離して以来、カシミール地方の領有権をめぐって対立を続けており、これまでに3度の戦争を行っている。

2019年2月、カシミール地方のインド側で同国警察隊を狙ったテロが発生し、40人が死亡した。

パキスタンに拠点を置くイスラム集団「ジェイシモハメド(JeM)が犯行声明を出したことから、インド軍は、カシミール地方のパキスタン側で空爆を行った。停戦ラインを越えた空爆は、1971年の第3次印パ戦争以来初めてだった。

パキスタン軍はその後、カシミール地方の自国領空内でインド空軍機を撃墜し、操縦士を拘束するなど、両国間で緊張が高まった。

ポンペオ氏は自伝の中で、インド警察隊40人が亡くなった「イスラム主義者のテロ攻撃は(中略)パキスタンの手抜きのテロ対策政策がその一端となっている」と指摘。インドはこれに空爆で対抗したが、「パキスタン人はその後の空中戦でインド空軍機を撃墜し、操縦士を捕虜にした」と述べた。

また、ハノイではインドの「相手方」と話すために、寝ていたところを起こされたと語ったが、その人物の名前は明かしていない。

「この人物は、パキスタン側が核兵器を発射する準備を始めたとみていると言った。一方で、インドもエスカレーションについて考えていると教えてくれた」

「私はこの人物に、何もするな、我々に対処する時間をくれと要請した」

ポンペオ氏はそこで、大統領補佐官(国家安全保障問題担当)だったジョン・ボルトン氏と、「ホテルの小さな通信設備」を使って協議したという。

ポンペオ氏は、「何度も話したことがある」パキスタン軍のクマル・ジャヴェド・バジワ最高司令官(当時)に連絡を取り、「インド側から言われたことを伝えた」。

「すると、それは真実ではないと言われた。予想できることだが、彼はインド側が核兵器の準備をしていると考えていた。両国に、相手が核戦争の準備をしていないと納得させるのに数時間かかった。これはニューデリーとイスラマバードにいた我々のチームの功績が大きい」

「他のどの国も、あの夜、恐ろしい結果を避けるために、我々がしたようなことはしなかっただろう」と、ポンペオ氏はつづっている。

インドもパキスタンも現時点で、ポンペオ氏の主張についてコメントしていない。

(英語記事 India and Pakistan came close to nuclear war: Pompeo

提供元:https://www.bbc.com/japanese/64395810


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