2023年12月1日(金)

NTTデータ経営研究所

2023年3月20日

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地方創生、地域の活性化に取り組むとき、多くの人は今ある課題の解決から考える。
だが、それで本当に地域は活気づき、人々と企業は元気になれるだろうか——。
誰もが幸福感を得られる未来。そこを起点に構想する地域づくりが求められている。

ウェルビーイングを高める「ひと中心」のまちづくり

NTTデータ経営研究所            
地域未来デザインユニット
ユニット長/アソシエイトパートナー
江井仙佳 えねい・のりよし 
地域計画・開発領域の知見・スキルをベースに、国の府省庁の政策立案、社会貢献型企業の経営戦略などを担当。地方都市圏の再生やレジリエンス・防災などの課題に対し、新産業創出、ビジネスモデル構築、新技術、コレクティブ・インパクト、SDGs、エシカルなどをキーワードとして解決・実現への道筋を探る。日本都市計画家協会理事、東京大学まちづくり大学院特別講師(スマートシティ論)。国際コンペ「21世紀の京都 グランドビジョン」受賞ほか。

 岸田文雄首相が年頭記者会見で表明した「異次元の少子化対策」はさまざまな議論を巻き起こした。政府が打ち出す対策の柱は、児童手当などの経済支援、保育などのサービス拡充、働き方改革の3本だが、地域づくりの視点も不可欠だと指摘する専門家がいる。NTTデータ経営研究所・地域未来デザインユニットの江井仙佳氏もその一人。地域にとっての少子化対策は、人が集う、暮らしたくなるまちづくりから始まるとして、次のように語る。

 「経済的な事情や働き方など人口減の要因はいろいろありますが、人の心を動かす文化や慣習、暮らし方の部分が実は大きく影響しているものと考えています。若い女性の流出に悩むある自治体の話ですが、男性・女性に対する固定化した役割意識が背景にある例もあります。誰もが自由に安心して暮らし、自己実現できる地域づくりを進めることが大切です」

 江井氏はそれを「ひと中心のまちづくり」と呼ぶ。若い世代がわくわく感を抱ける仕事をつくり、地域独自の価値を生み出すには、そこに暮らす人々にとっての幸福感や尊厳といった普遍的価値、すなわちウェルビーイングを高めることが前提となるのである。

 

バックキャストで構想する普遍的な価値の実現

 では、誰もが幸福感を得られるまちとは何か、どうすればつくれるのか。江井氏はその端緒として、バックキャスティング型の思考を推奨する。

 「未来洞察(Foresight)を起点として、未来のありたい姿についての共通ビジョンをまず描き、そこから逆算して今できていないことを成していく手法です。地域づくりでは、現在の困りごとから出発して、それらが解決された姿を追求する例も多く見られます。一方、参加する方々のモチベーションを高め、維持するためには、明確な未来像を描くことも有効です。また、普遍的な価値の実現を目標に据えることによってゆらぎが少なくなり、いつでもそこに立ち返ることができる場所となります。それには、一人ひとりのwillやwantに耳を傾けて、それらの総体から未来像を紡ぎ出す作業が必要になるでしょう」

 そのツールとしてNTTデータ経営研究所(以下、経営研)が開発を支えたのが、NTTグループの「SUGATAMI」である。住民の満足度・幸福度を測る多様な指標を収集し、地域のウェルビーイング度を可視化することで、その地域の豊かさや特色、ポテンシャルといったものを紐解くことができるという。

 「他の地域と優劣を比べるのではなく、みずからを映す鏡として、客観的に自分たちの望む姿や現状を把握できることが特長です。これを一つの羅針盤として、省庁・自治体のオープンデータや、弊社が持つ約5万人のモニター調査からなる人間情報データベースなどと組み合わせて、あるべき未来の姿を考えます」

 この取り組みは、地域・住民の幸せの最大化を目的にNTTグループが進めるSustainable Smart City Partner Program(SSPP)の一環である。

 

人と企業の元気がつくるハイレジリエントな未来

 バックキャストは社会の仕組みづくりにも生かされる。防災・災害対応領域もその一つ。経営研も検討に参加したNTTデータの社会提言「ハイレジリエントな未来を共創する」では、これから訪れる変化—2030年代の社会構造や人と人のつながり、デジタル技術の進展—などを洞察。高い確率で訪れるとされる巨大災害に対し、シミュレーションや一人ひとりに寄り添うパーソナライズ技術などを軸に、誰ひとり取り残されない「自助・共助・公助5.0」のあり方を描いた(図参照)。

 「人と技術と情報をつなぐことで、人間の力が最大限に発揮される社会のあり方を構想しました。住民や企業にとってのありたい未来を描き、その障害となる課題を解決しながら新しいまちやビジネスをつくり、成長力とポジティブな社会変化へと変えていく、そんな姿勢が求められるのだと思います」

 重視するのは、心豊かな暮らしと企業の社会課題解決力。人間性を大切にしながら、経済と社会の好循環を描き実現することに日々奮闘している。