
アメリカの小売り大手「ターゲット」は23日、一部の店舗から「LGBTQ(性的少数者)プライド・コレクション」の商品を撤去したと発表した。脅迫や迷惑行為があったため。
6月は、性的マイノリティーの権利を促進する「プライド月間」として知られており、ターゲットはこれに向けた商品を展開していた。
ターゲットは、約2000店舗が「不安定な状況」になったことを受け、従業員を守るための措置を取ったとしている。また、一部の州では「プライド月間」関連商品を店の奥に移動させたと述べた。
撤去された商品には、虹のモチーフや「Love is Love(愛は愛)」という文言があしらわれたTシャツなどが含まれる。
また、「ジェンダー・フルイド(自身の性自認が流動的な状態)」と書かれたマグカップや、「バイバイ、バイナリー(性二元論)」、「プライド123」、「I'm not a girl(自分は女の子じゃない)」といったタイトルの児童書も対象となった。
ターゲットは声明で、「今年のコレクションを発表して以降、従業員の職場での安全やウェルビーイング(人が健康で幸せな、良好な状態にあること)に影響を及ぼす脅迫があった」と説明。
「こうした不安定な状況を受け、最も激しい対立的行為の中心となった商品を撤去するなど、プランの調整を進めている」と述べた。
広報担当者によると、プライド関係の商品が床に投げ捨てられる事案が増えているという。
またロイター通信に対し、対象商品はアメリカの店舗とウェブサイト双方から撤去されると述べた。
さまざまなプライド・コレクションが見直しを受けている中、「Abprallen」レーベルで発売されている商品はすぐに撤去が決まった。このシリーズは五芒星(ごぼうせい)や角の生えた頭蓋骨など、悪魔的なモチーフが使われている。
虹色の時計を押収
LGBTQの多様性を反映・支持するための製品をめぐる論争には、世界中のブランドが巻き込まれている。
スイス時計大手スウォッチは、マレーシアの首都クアラルンプールの店舗などで先週、当局が虹色の時計164本(総額1万4000ドル相当)を押収したと述べた。
ムスリム(イスラム教徒)が多数を占めるマレーシアでは、同性愛行為は禁止されている。実際に執行されることはまれだが、むち打ち刑や禁錮刑が言い渡される可能性がある。
スウォッチのニック・ハイエク最高経営責任者(CEO)は「レインボーカラーを使用し、平和と愛のメッセージを込めた私たちの時計コレクションが有害であるというメッセージに強く反対する」、「これは何ら政治的なものではない」と述べた。
「マレーシアの空に年に何千回も現れる美しい自然の虹を、内務省の執行部門がどのように押収するのか疑問だ」
同社のマーケティング主任を務めるサラ・コク氏によると、スウォッチはスイス本社の指示に従い、プライドウォッチシリーズの在庫を補充し、店頭に並べる予定だという。
AFP通信が入手したスウォッチ宛ての召喚状によると、問題となった時計は「LGBT要素」を含み、1984年印刷法に違反するものだという。政府の批判者は長い間、この法律を強権的だと批判している。