2023年6月5日(月)

BBC News

2023年5月26日

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長野県中野市で25日夕に男性が猟銃のようなものを発砲するなどして住宅に立てこもった事件で、警察は26日午前4時半すぎ、男性の身柄を確保した。新たに女性1人の死亡が確認され、25日に死亡が確認されていた女性1人と警官2人と合わせ、死者は計4人となった。警察はその後、男性を殺人の疑いで逮捕した。

長野県警は26日、逮捕したのは青木政憲容疑者(31)だと発表した。

複数の日本メディアによると、容疑者は中野市議会の青木正道議長の息子で、立てこもったのは自宅だった。

容疑者は約12時間立てこもった末に、26日午前4時半すぎに自宅から出てきたところを警察に確保された。

立てこもった当時、自宅には容疑者の母親とおばがいたが、それぞれ別々に逃げ出した。

報道などによると、容疑者は市内でジェラート販売店を経営し、原材料のぶどうなどの果物の栽培にも携わっていたとされる。

駆けつけた警官2人に発砲

事件は25日午後4時25分ごろ、「男が女性を刺した」と複数の通報があったことから発覚。警官2人が現場に駆け付けたところ、容疑者が猟銃のようなものを発砲し、その後に近くの自宅に立てこもった。

同日中に女性(66)と、男性警官2人(46歳と61歳)の死亡が確認された。その後、議長宅の近くで倒れていた高齢女性についても死亡が確認された。この高齢女性がどのように被害に遭ったのかは不明。

25日に現場付近で畑仕事をしていた目撃者は、1人目の犠牲者となった女性を男性が刃渡り30センチほどの刃物で刺すのを見たと共同通信に話した。

動機はまだわかっていない。一部の報道では、この目撃者が「何でこんなことをするんだ」と聞くと、男性は「殺したいから、殺してやったんだ」と答えたとされる。

立てこもっていた男性は迷彩服と帽子、サングラスを身につけ、猟銃を持っていた可能性があるとの報道もある

住民らに不安広がる

日本では昨年7月に安倍晋三元首相が銃撃されて死亡。銃規制がきわめて厳格な日本の社会に、大きな衝撃を与えた。

日本で警官が複数人死亡する事件は非常にまれで、1990年に沖縄県で暴力団抗争の警戒に当たっていた警官2人が組員と間違えられて射殺されて以来という。

今回の事件では、現場周辺の住民に影響が及んだ。

容疑者が立てこもったことを受け、一部の住民は自宅から別の場所に移って一夜を過ごした。近くの学校は26日は休みとなる予定だったが、容疑者の逮捕を受け、住民らは普段どおりの生活を送れるようになった。50代の男性はNHKに、「自分の家の近くでこのような事件が起きて、痛ましく、残念です。夜は一睡もできませんでした」と話した。ツイッターでは、衝撃と警戒の声が見られた。「許しがたい犯罪」などとするツイートもあった。こうした事件に今後、備える必要があるのだろうかと疑問を書くユーザーもいた。

警察庁によると、日本における2022年の銃器発砲事件の発生件数は9件で、死傷者数は6人(死者4人、負傷者2人)だった。これに対して、米銃暴力アーカイブによると、2022年にアメリカで銃によって死亡した人(事故、自殺含む)は4万4357人に上る。

(英語記事 Man held after knife and gun attack in Japan

提供元:https://www.bbc.com/japanese/65704834


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