
ロシアを訪問中の北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記は、滞在を想定外に延長した。ロシア大統領報道官が14日、明らかにした。金氏は今回の訪ロで、ウラジーミル・プーチン大統領と武器取引について話し合ったとみられている。
専用の豪華な装甲列車で2日かけて12日にロシア入りした金氏は、13日にロシア極東アムール州のヴォストチヌイ宇宙基地でプーチン氏の手厚い歓迎を受けた。両氏は笑顔で握手を交わし、プーチン氏が自ら宇宙基地を案内した。
その後の首脳会談では、軍事協力の可能性について話し合ったとみられている。
クレムリン(ロシア大統領府)のドミトリー・ペスコフ報道官は14日、会談後にプーチン氏はモスクワに戻ったが、金氏はロシア滞在を数日間続ける見通しだと明らかにした。詳しい説明はしなかった。
金氏はロシアの軍艦の展示を見たり、いくつかの工場を訪問したりするほか、帰途では東部ウラジオストクに立ち寄るとみられていた。
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ペスコフ氏によると、両首脳は今回、贈り物を交換した。プーチン氏は「何度か宇宙に行った」宇宙服の手袋とロシア製ライフルを贈り、金氏は北朝鮮製の銃などを渡したという。
ペスコフ氏はまた、プーチン氏が金氏から北朝鮮に招待され、「喜んで」受け入れたと説明した。
アメリカは安保理決議違反と主張
北朝鮮とロシアの両国はそれぞれ、西側諸国との関係がかつてないほど悪化している。
今回の首脳会談では、金氏がウクライナでの戦争をめぐってロシアへの支持を表明したとみられている。
金氏は「ロシアは神聖な戦いに立ち上がり、覇権主義的な(西側)勢力に対抗して主権と安全を守っている」と述べ、プーチン氏の決定を「常に支持する」と伝えたとされる。
一方、プーチン氏は、北朝鮮の人工衛星開発を支援すると述べたとされる。
この技術供与については、北朝鮮のミサイル技術の向上につながるとして、アメリカが懸念を示した。
米国務省のマシュー・ミラー報道官は13日、「非常に懸念されることで、複数の国連安全保障理事会決議に違反する可能性がある」と述べた。それらの決議には、ロシアも過去に賛成票を投じている。
プーチン氏もこの点を認識しているもようで、軍事協力には「一定の限界がある」と述べている。
アメリカはまた、北朝鮮がロシアに武器を提供すれば、「ためらいなく行動に出る」と警告している。これに対してクレムリンは、大事なのはロシアと北朝鮮の国益であり、「ワシントンからの警告ではない」と述べた。