
ラグビーのワールドカップ(W杯)フランス大会は17日夜(日本時間18日早朝)、ニースで1次リーグD組の試合があり、日本(世界ランキング14位)は12-34でイングランド(同6位)に敗れた。
日本はこれで1次リーグ1勝1敗。D組3位につけている。初戦はチリに勝利した。イングランドは2勝0敗で暫定1位。
ノックアウトステージ(決勝トーナメント)には、各組の上位2チームが進む。日本は、サモア(同11位)、アルゼンチン(同10位)との試合を残している。
前半は強豪に食らいつく
開始早々の前半4分、イングランドが先制した。日本の自陣ゴール前でのオフサイドの反則から得たチャンスでペナルティーゴールを選択。ジョージ・フォードが確実に決めた。
嫌な流れになりかけた日本だったが、14分、同点に追いつく。8回にわたる連続攻撃でイングランドのゴール間際まで攻め込み、トライは奪えなかったものの、イングランドの反則を招く。ペナルティーゴールを選び、松田力也が正確に蹴り込んだ。
日本はさらに23分にも、キックで相手ゴール付近まで迫った。イングランドがオフサイドの反則を犯すと、松田が再びペナルティーゴールに成功。6-3でリードを奪った。
しかし、イングランドは直後の25分、今大会初となるトライを奪い逆転した。日本のラインアウトのミスから、ボールはイングランドのルイス・ラドラムに。そのままゴールラインを越えて持ち込んだ。コンヴァージョンキックもフォードが決めた。
この後、両チームはペナルティーゴールを1本ずつ決め、イングランドが13-9とリードして前半を終えた。
イングランドが後半に3トライ
後半15分、日本は松田がペナルティーゴールを成功させ、1点差に迫った。
しかしイングランドは直後、日本を突き放しにかかる。素早いパス回しで日本の守備を切り裂き、最後はコートニー・ローズがボールを日本ゴールへと持ち込んだ。ノックオンがあったようにも見えたため、選手たちは一瞬動きを止めたが、テレヴィジョン・マッチ・オフィシャル(TMO)の結果、トライが認められた。コンヴァージョンキックをフォードが決めた。
イングランドはさらに後半26分、トライを重ねた。フォードが左サイドに絶妙なキックパスを出すと、フレディー・スチュワードがこれをキャッチ。そのまま日本のゴールラインを越えた。フォードはコンヴァージョンキックも成功させた。
イングランドは終了間際にも、この試合四つ目のトライを奪った。ジョー・マーチャントがゴールポスト付近にボールを運び込んだ。コンヴァージョンキックもフォードがきっちりと決めた。
「タイトな試合で地力の差」
日本はこれで、W杯優勝経験があるイングランドと11戦して全敗となった(テストマッチ含む)。「歴史を変える」と強い気持ちで臨んだ試合だったが、勝利はつかめなかった。
イングランドにとっては大差の勝利となったが、BBCのマイク・ヘンソン記者はこの夜の試合を、強豪のフランス、アイルランド、南アフリカがまだイングランドより数段上のレベルにいることを示す「まとまりのない」勝利だったと評した。
主将の姫野和樹は試合後のインタビューで、「自分たちがプランニングしてきたものがすごく出せた部分もあったが、後半アンラッキーな部分でトライを取られたことから流れをつかめずに、得点を重ねられてしまったのは今後の反省点かなと思う」と、この日の試合を分析。
「前半しっかりゲームメークできていた部分はあった。それを後半にしっかりつなげていかないと、こういったタイトなゲームで自力の差が出てしまう。そこをしっかり改善していきたい」と話した。
ジェイミー・ジョセフ監督は、「たくさんのチャンスがあったがミスを犯してしまい、プレッシャーがかかってしまった。最初の60分は非常によかったと思う。ただ、チャンスを生かすことができなかった」と振り返った。
日本は28日夜(日本時間29日早朝)に、現在D組2位のサモアと3戦目に臨む。
一方、イングランドの主将のローズは、「日本に全面的な賛辞を送る。厳しい戦いを仕掛けてくることは分かっていた。ボールがベトベトしていたが、いいプレーができ、勝ち点5を取れたのは何よりだ」と話した。
スティーヴ・ボーズウィック監督は、「選手のためにも、サポーターのためにも本当にうれしい。(中略)今夜はタフ(な試合)だったが、ボーナスポイントを獲得でき、うれしく思っている」と述べた。
イングランドはこの日の試合で、4トライ以上で与えられるボーナスポイントも得て、勝ち点を9に伸ばし、決勝トーナメント進出に近づいた。次は23日に現在D組5位のチリと対戦する。
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