2023年11月29日(水)

BBC News

2023年10月29日

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イランの国営メディアと人権活動家らは28日、今月初めにイランの道徳警察に殴打されたとみられ、その後に意識不明の状態が続いていた少女が亡くなったと発表した。

アルミド・ゲラヴァンドさん(16)は10月1日、首都テヘランにある地下鉄のショハダ駅で列車に乗った後に倒れた。

活動家らは、道徳警察がヒジャブを着用していなかったゲラヴァンドさんを暴行したと主張。一方、当局はゲラヴァンドさんは気を失ったのだと述べている。

イラン国営通信IRNAは、ゲラヴァンドさんが28日朝、「脳への損傷」が原因で亡くなったと報じた。

スポーツ・青少年省傘下の通信社BORNAは、ゲラヴァンドさんが28日間の「集中医療」を受けた後に亡くなったと伝えた。

ゲラヴァンドさんの両親は、声明を発表していない。

一方、ノルウェーに拠点を置く少数民族クルド系の人権団体「Hengaw」は、ゲラヴァンドさんが「ヒジャブ強制の最新の犠牲者となり、28日間の入院の末に死亡した」という報告を受けたと発表した。

Hengawは、国境なき医師団および国際赤十字委員会の独立した医療チームによる調査を訴えている。

「イラン・イスラム共和国は、ゲラヴァンドさんが死亡したことへの政府の関与について、話の流れをゆがめようとしている」と、Hengawは指摘した。

イランでは昨年9月、髪の毛を覆うよう女性に義務づけた法律に違反したとして、クルド系女性のマサ・アミニさん(22)が道徳警察に逮捕され、その後、警察の勾留施設で死亡した。多くのイラン人が、この事件とゲラヴァンドさんの死を比較している。

イランではアミニさんの死後、各地で反政府デモが発生。当局による暴力的な鎮圧により、数百人が殺され、数千人が拘束された。

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当局が公開した監視カメラ映像では、髪の毛を隠していないゲラヴァンドさんが、ほかの2人の少女と共に列車に乗り込む様子が映っている。その後、少女の1人が列車から降りてしゃがみ込んだ。

そして、この少女とほかの乗客数人が、意識を失ったゲラヴァンドさんの両腕と両脚を抱えて運び出し、ホームに寝かせているように見える。

一方で、列車内や、ヒジャブ着用をチェックしているとみられる駅の入り口の映像は公開されていない。

テヘラン・メトロのマネージング・ディレクター、マスード・ドロスティ氏は、少女と「乗客や地下鉄運営会社幹部」との間に「言葉による、あるいは身体的な衝突」はなかったとしている。

Hengawは事件の2日後、「病院の特別治療部門に収容されているアルミド・ゲラヴァンドさん」だとする写真を投稿した。写真には、人工呼吸器のチューブのようなものが取り付けられたベッドに横たわる、頭に包帯を巻かれた短髪の少女が写っていた。

Hengawは当時、この10代の女性は入院以来、容体が悪すぎると診断され、手術は受けていないと述べていた。

ゲラヴァンドさんは22日に脳死と宣告された。父親のバフマン・ゲラヴァンドさんは当時、医師から「回復の見込みはない」と言われたとHengawに語った。

(英語記事 Iranian girl who collapsed on Tehran metro dies

提供元:https://www.bbc.com/japanese/67253446


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