
ロシア南部ダゲスタン共和国の中心都市マハチカラで29日、大人数が空港に押し寄せ、滑走路に乱入するなどした。中にはユダヤ人差別的なスローガンを連呼する人もいた。ダゲスタンの人口約310万人は、大半がイスラム教徒。
ソーシャルメディアで拡散した現場の映像では、激高する群衆が空港内で走る様子が見える。その一部は滑走路へ向かい、駐機していた旅客機を取り囲んだ。イスラエル・テルアヴィヴから到着した乗客を探していたとの情報もある。
群衆の一部がパレスチナの旗を振ったり、「アッラーフ・アクバル(アッラーは偉大なり)」と叫んだりしていた様子も、映像から見てとれる。
ロシア連邦航空運輸局(ロサヴィアチア)は、当局の到着によって状況は沈静化したと発表。11月6日まで空港は「暫定的に閉鎖」するという。
これに先立ち地元メディアは、空港の外で集団の一部が車を停車させ、身分証の提示を迫っていたと伝えていた。イスラエルの旅券を持つ者がいないか、手当たり次第に探していた様子だという。
現地保健当局は、複数の負傷者が出たと発表した。
ダゲスタン共和国政府は、公序良俗違反の疑いで刑事捜査に着手したと明らかにした。
同政府は、パレスチナ自治区ガザ地区への支持を表明する一方で、ダゲスタン市民には平静を保ち、今回のような抗議行動に参加しないよう呼びかけた。
共和国政府はソーシャルメディア・テレグラムで、「(空港)施設の運営手続きを侵害した全員は、違法行為を中止し、空港職員の作業を妨害しないよう勧告する」と書いた。
ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスが10月7日にイスラエルを奇襲し、多数を殺害し、229人を人質にしたことを機に、イスラエル軍はガザ地区攻撃を続けている。ハマスによると8000人以上が死亡しているこの攻撃について、世界各地で抗議が続いている。
イスラエル首相官邸はロシア政府に対し、ユダヤ人とイスラエル人に対する暴力の扇動を厳しく取り締まるよう求めた。
イスラエル外務省は、駐モスクワ大使がロシア当局と連携しているとしたうえで、イスラエルは「場所がどこだろうと、イスラエル市民とユダヤ人を傷つけようとする行動を、深刻に受け止める」とコメントした。
「イスラエルはロシアの捜査当局が、すべてのイスラエル市民とユダヤ人について、それが誰だろうと、その安全を守ることを期待する。そして、暴動の当事者と、さらにユダヤ人とイスラエル人に向けられる無軌道の扇動を、精力的に取り締まるよう期待する」と、イスラエル外務省は述べた。