
アメリカのジョー・バイデン大統領は1日、イスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスとの紛争について、「一時休止(ポーズ)」が必要だと訴えた。
バイデン大統領がこの日、ミネソタ州ミネアポリスでの集会で演説していたところ、停戦を求める野次が飛んだ。
停戦を繰り返し求める参加者の質問に対してバイデン氏は、「我々に必要なのは一時休止だと思う」と返答。「一時休止によって、捕らわれている人たちを脱出させる時間ができる」と述べた。
AP通信によると、ホワイトハウスはその後、バイデン氏の発言はハマスに人質に取られた人を助け出し、人道支援を行うという意味だったと説明した。
ハマスは10月7日にイスラエル南部を襲撃し、1400人を殺害。約240人を人質として連れ去った。
一方、ハマスが運営するガザ地区の保健省は、イスラエルが報復の空爆を初めて以降、9000人以上が殺されたとしている。
ガザ地区では現在、140万人が家を追われたとみられている。国連は、悲惨な人道的状況を緩和するために停戦が必要だと訴えている。面積約365平方キロのガザ地区の人口は、戦争開始前は約220万人だった。
アメリカやイギリス、カナダ、欧州連合(EU)などは、ハマスにとって有利になるとして、停戦を支持するには至っていない。ハマスはこれらの国々から、テロ組織と認定されている。
アメリカのマイク・ジョンソン連邦下院議長(共和党)は10月31日、停戦に断固反対すると発言。「イスラエルに停戦は必要ない。イスラエルに必要なのは、同盟国が政治的駆け引きをやめ、今すぐ支援を提供することだ。そして、我々はまさにそれをしている」と述べた。
こうしたなかで2日、共和党が過半数を占める連邦下院、イスラエルに向けた143億ドルの支援パッケージを可決した。
一方で民主党は、内国歳入庁(IRS)予算の大幅削減が含まれているとして、この法案を自分たちが多数を占める上院で否決するとしている。
バイデン氏も、IRSの予算削減が含まれる内容の法案が議会で可決されても、署名を拒否すると発言している。