2023年12月1日(金)

BBC News

2023年11月7日

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アメリカのドナルド・トランプ前大統領(77)の一族企業が不正に利益を得たとして訴えられた民事裁判で、前大統領が6日、ニューヨークの連邦地裁に出廷した。前大統領はたびたび判事と衝突しながら、一族企業に不正はなかったと主張した。

トランプ前大統領は約4時間にわたって証言。銀行を欺いたとする原告側の主張に反論し、この裁判に対する不満を繰り返し訴えた。

アーサー・エンゴロン判事はすでに、一族の不動産企業「トランプ・オーガナイゼーション」が資産価値を水増しし、財務諸表を改ざんしたと認定している。裁判では、どのような罰を科すかを判断する。

原告のレティシア・ジェイムズ・ニューヨーク州司法長官は、2億5000万ドル(約375億円)の罰金と、事業に対する厳しい制限を求めている。

原告は、前大統領と息子のエリック・トランプ氏、ドナルド・トランプ・ジュニア氏、その他の一族企業の幹部らが、長年にわたって同社の資産を意図的に膨らませてきたと訴えている。被告は全員、不正行為を否定している。

前大統領は来年の大統領選での復権を目指している。現在、共和党候補の指名争いで他者をリードしている。

不正を否定

トランプ前大統領はこの日の法廷で、フロリダ州の私邸マール・ア・ラーゴ、ニューヨーク市のトランプ・タワー、英スコットランドのゴルフコースなど、所有するさまざまな不動産の価値について問われた。

これらの不動産について検察側は、一族企業が有利な条件での融資や保険契約を得るため、財務諸表で意図的に過大評価していたと主張している。

前大統領は、財務諸表の評価額は正しいと主張。「私の価値は財務諸表の評価額より何十億ドルも高い」とし、評価額は「非常に控え目」だと述べた。

また、不動産の評価は自身のブランド力で高まっているとし、それは財務諸表に決して反映されるものではないと主張した。

「これは政治集会ではない」と判事

証言台のトランプ前大統領は強い口調で発言を続け、長々とした証言は時にとりとめのないものとなった。

エンゴロン判事は、「質問にだけ答えてください。演説は結構」などと何度か注意し、へきえきとした様子も見せた。

前大統領の長い答弁のあと、判事が前大統領の弁護士に、「依頼人をコントロールしてください。ここは政治集会の場ではなく法廷だ」、「できないなら私がやる」と伝える場面もあった。

別の場面では、前大統領が「この判事はきっと私に不利な判決を出すだろう。いつも私に不利な判決を出すからだ」と発言。

これに対し判事は、「好きなように私を攻撃していいが、どうか質問に答えてくれませんか」と返した。判事はその後、前大統領を「壊れたレコード」だと評した。

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会計士が責任負うと主張

トランプ前大統領は、財務報告の責任者は会計士だとも述べた。これは先週、法廷で証言した息子2人と同じ主張だ。

「私がしたことは、会計士が財務諸表を作るために必要なことを承認しただけだ」と前大統領は証言した。

証言を終えて裁判所を去る際には、前大統領は改めてこの裁判を「いかさま」だと主張。自らの証言について、「非常にうまくいった」と述べた。

この日の前大統領の闘争的な態度をめぐっては、熟慮の末の戦略だったとする見方や、大統領選の運動として利用したのだとの分析が出ている。

元連邦検事のレナト・マリオティ氏は、前大統領の弁護団が「すでに負けた」と考えていることがうかがえるとBBCに説明。「非常に悪い結果をどうにかよく見せようとしている」と述べた。

同じく元連邦検事のケヴィン・マクマニガル氏は、「(前大統領が)控訴する時に偏見の被害を受けていたと主張できるよう、判事をあおっているのではないか」と話した。

判事はすでに、先月の法廷外での発言に対し、前大統領に1万5000ドルの罰金を科している。

8日には、前大統領の娘イヴァンカ・トランプ氏が証言する見込み。

前大統領はこの民事裁判のほか、4件の刑事裁判で被告になっている。刑事裁判は、2020年大統領選の結果を覆そうとした疑いに関するものが2件、機密文書の取り扱いに関するものが1件、口止め料の支払いに絡む虚偽会計の疑いに関するものが1件。

(英語記事 Trump clashes repeatedly with judge in NY testimony

提供元:https://www.bbc.com/japanese/67341146


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