
イスラエルのヨアヴ・ガラント国防相は7日、イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザ地区の「ガザ市中心部で」作戦を展開していると明らかにした。イスラエルは同地区を実効支配するイスラム組織ハマスの壊滅を掲げている。アメリカのジョー・バイデン大統領は、前日のイスラエル首相との電話協議で戦闘の「一時停止」を求めたと明らかにした。
ガラント国防相は、イスラエル部隊がハマスのインフラを破壊し、ガザ地区のハマス・トップ、ヤヒヤ・シンワル氏が地下施設で孤立していると述べた。イスラエルはシンワル氏が先月7日のイスラエルへの奇襲攻撃を計画したとしている。
ガラント氏は、イスラエル軍の「標的は一つ、ガザ地区にいるハマスのテロリストだ。そのインフラや司令官、地下施設、通信室だ」と述べた。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、イスラエル軍がガザ市を包囲していると記者会見で述べた。
「ガザ市は包囲されており、我々はその中で活動している」
また、ハマスに連れ去られたイスラエルの人質が解放されるまでは、停戦にも燃料の供給にも応じないとし、ガザ市民に南部に避難するよう求めた。
一方、ハマス側は、イスラエル軍に損害を与えているとしている。
過去24時間で、ガザ市西部の難民キャンプやガザ地区北東部ベイト・ハヌン付近で多数の軍用車両を完全に、あるいは部分的に破壊したという。
BBCは双方の主張を検証できていない。
イスラエルの地上作戦は、壊滅的な空爆を伴っている。ハマスが運営するガザ地区の保健省によると、イスラエル軍の攻撃でこれまでに子供4100人以上を含む1万328人が殺された。
また、7日だけで300人以上が殺害されたとしている。ハマス側が公表する死者数に懐疑的な見方もあるが、世界保健機関(WHO)は信頼に足るものだとみている。
ガザ地区の保健省は7日の空爆で、ガザ地区南部ラファとハンユニスで少なくとも23人が殺されたとしている。イスラエルはガザ市民に対し、安全のために南部に避難するよう指示している。
WHOのクリスティアン・リンドマイヤー報道官は、この紛争における「死と苦しみの度合い」は「計りがたい」もので、ガザ地区では毎日、平均160人の子供たちが殺されていると述べた。
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民間人数百人が避難、北部に残る人も
イスラエル軍のガザ市への前進によって、多くの民間人が南部への脱出を図っている。
7日には数百人が数時間かけて移動した。ロバが引く荷車に乗った人もいたが、大半の人は徒歩で移動した。
ガザ地区で取材するBBCのラシュディ・アブ・アルーフ記者は、北部には今も約50万人が暮らしているとみられると報告している。
北部で暮らす男性は、道路が破壊され、自分と家族は北部を離れられないという。男性は心臓が弱く、徒歩では5キロメートルも移動できないと、BBCに語った。
バイデン氏、戦闘の一時停止求める
アメリカのバイデン大統領は7日、イスラエルのネタニヤフ首相との前日の電話協議で、ガザ地区での戦闘の一時停止を求めたと明らかにした。
ホワイトハウスの報道官は先に、アメリカとイスラエルの首脳が6日、人道的理由と人質解放の可能性のために、ガザ地区でのイスラエルの攻撃における「戦術的な一時停止」について議論したとしていた。
バイデン氏は、戦闘を3日間停止することを提案したのかと記者から問われると、期間についてはコメントしなかった。
イスラエルは戦闘の一時停止はハマスにとって有利になるとしている。米政府をはじめ多くの西側諸国はこのイスラエルの立場を支持している。
戦闘終了後のガザの安全保障
ネタニヤフ首相は6日、戦闘終了後にイスラエルが安全保障全般に責任を持つことになると思うと述べた。
これについて、イスラエルのロン・ダーマー戦略担当相は、BBCワールドサービスの番組「ニューズアワー」で、「安全保障全般の責任」というのは、ガザ地区が非武装地域であり続けることを保証し、イスラエル国防軍(IDF)が新たなテロの脅威と戦うために治安維持活動を行うことを意味していると述べた。
一方で、イスラエルがガザ地区を再び占領したり統治したりすることはないとした。
アメリカは先に、イスラエルによるガザ地区の「再占領」を支持せず、同地区はパレスチナの土地であり続けなければならないとしていた。
イスラエル上空で爆発音
イスラエル・テルアヴィヴの上空で7日夜、大きな爆発音がしたと、同市にいるBBCのチームは報告している。
BBCのジョー・インウッド記者は、建物の屋上で作業していたところ、頭上で雷鳴のような爆発音が聞こえたという。
最初の爆発音は、ここ数日で聞いた中で最も大きく、空にはイスラエルの防空システム「アイアンドーム」が作動したことを示す煙が上っていた。しかし、サイレンは鳴らなかったという。
2回目の爆発音はさらに近くで鳴り響いた。警告を受け、記者はアパートのセーフルームに入った。
ハマスがガザ地区から発射するロケット弾のほとんどは、イスラエルによって迎撃されている。ただ、一部はイスラエル領内に到達しているとみられる。
(英語記事 Israel says its troops are 'in the heart of Gaza City'/Israel says troops operating 'in the heart of Gaza City')