
主要7カ国(G7)の外相会合が8日までの2日間、東京であり、中東情勢が緊迫するなかでもウクライナへの支援は「決して揺らぐことはない」とする共同声明を発表した。
G7はイギリス、フランス、ドイツ、イタリア、日本、カナダ、アメリカで構成する。会合には欧州連合(EU)上級代表も参加した。
各国の外相らは、ウクライナを侵攻しているロシアが長期戦に備えているとの認識を共有。ウクライナを経済的にも軍事的にも支援していくと強調した。
G7はロシアが本格侵攻を開始した昨年以降、同国に対する制裁を積極的に進めている。
G7外相らは、イスラエル・ガザ戦争のためにウクライナへの支援から目をそらすことがあってはならないとした。
「ウクライナ疲れ」への懸念
日本の外務省の声明によると、各国外相らはロシアに厳しい制裁を課し、ウクライナを引き続き支援する必要性について合意した。
アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は、G7が「ロシアの戦争に対する非難で結束している」と述べた。
だが、そうした強い言葉は、戦争の長期化の影響を受けるウクライナの現状を覆い隠すものとなっている。
ウクライナは、西側諸国の「ウクライナ疲れ」が、ロシア軍に対抗する戦闘力を低下させることを懸念している。
アメリカのジョー・バイデン大統領は、600億ドル(約9兆円)規模のウクライナへの追加支援の承認を議会に求めているが、共和党議員の反対によって保留されている。米政府関係者によると、現在の支援は数週間以内に底をつき、ウクライナ軍に破滅的な結果をもたらす可能性があるという。
イタリアのジョルジャ・メローニ首相は先週、ウクライナでの戦争に関する「疲労」が強くなっており、「出口が必要だと誰もが理解する瞬間が近づいている」と、アフリカ連合関係者になりすましたロシア人からのいたずら電話で述べ、話題になった。
先月就任したばかりのスロヴァキアのロベルト・フィツォ首相は、政権を発足させると同時にウクライナへの武器供与を停止した。
ウクライナ国内でも揺らぎ
ウクライナ国内でも結束に揺らぎがみられる。
軍のヴァレリー・ザルジニー総司令官は先週、戦況について「行き詰まり」だと述べ、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領との見解の違いが表面化した。
ゼレンスキー氏は「内紛で溺れないよう」国民に訴えた。
ロシア占領下のウクライナ東部ルハンスク市では8日、分離主義の民兵組織の元トップで、ロシアに協力していたミハイル・フィリポネンコ氏が自動車爆弾の攻撃で死亡した。
ウクライナ軍情報部は、地元の抵抗勢力と協力して攻撃に関わったと説明した。フィリポネンコ氏は昨年2月にも攻撃の標的になっていたとロシアメディアは報じている。