
ストライキを続けているアメリカの俳優労組は8日、映画スタジオ側と暫定的な合意に至ったと発表した。これにより、118日間にわたる長期ストが終結する。
俳優労組「映画俳優組合-アメリカ・テレビ・ラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)」は、7月14日にストを開始。映画スタジオやストリーミング各社に対し、賃金やロイヤルティ、年金といった労働条件の改善や、人工知能(AI)の使用に関する保護措置などを求めている。
SAG-AFTRAには約16万人所属しており、映画の撮影や公開などにも影響が出ていた。
SAG-AFTRAは声明で、映画テレビ製作者協会(AMPTP)と暫定的な合意に、全会一致で至ったと発表。「基準を上回る」最低報酬の引き上げのほか、AIの脅威から組合員を保護する同意と報酬に関する前例のない規定、さらに、初となる「ストリーミング参加ボーナス」の創設が約束されたと説明した。
合意にはこのほか、バックグラウンド・パフォーマーに対する大幅な報酬増や、多様なコミュニティーを保護する重要な契約条項といった改善も含まれているという。
合意の詳細は、同労組の理事会で精査された後、10日にも発表される予定。
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AMPTPは暫定合意を歓迎し、「業界が素晴らしい物語を伝える仕事を再開することを楽しみにしている」と述べた。
また、この合意によってSAG-AFTRAが「過去の契約と比べ組合史上最大の利益を得ることになる」と述べた。
俳優からも合意を前向きにとらえるコメントが出始めている。プロレス映画「アイアン・クロー」のプレミアでザック・エフロン氏は、この契約を「信じられない」と表現した。
オスカー受賞者のジェイミー・リー・カーティス氏は、「忍耐は報われる」とインスタグラムに投稿した。
ハリウッドでは、今年5月に米脚本家組合(WGA)もストを開始。9月にスタジオ側と合意に至った。俳優と脚本家のストが同時に行われていたのは、1960年以来63年ぶりだった。
米誌デッドラインによると、これらのストにより、カリフォルニア州ではこれまでに65億ドルの経済的損失が出ているという。
これまでに、「アバター」、「パディントン」、「ファンタスティック・フォー」といった作品の新作に遅れが出ている。俳優らはまた、スト中は映画の宣伝活動などにも参加できない。