
マレーシアのアンワル・イブラヒム首相は7日の議会で、イスラエルを襲撃したパレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスと関係を維持し、「罰することはしない」と述べた。
アンワル氏は、マレーシア国民はパレスチナの大義を「一致して支持」すべきだとも主張した。
この日の議会では、米下院が先週、ハマスや武装勢力「イスラム聖戦」を支持する外国勢力に対する制裁を決議したことを受け、野党議員がマレーシア政府の立場について質問した。
それに対しアンワル氏は、「私はいかなる脅しも受け入れない。この(米下院の)行動もだ。これは一方的で効力はない。マレーシアは国連加盟国として、安全保障理事会の決定しか認めない」と答えた。
ハマスはイギリスやアメリカなど多くの国からテロ組織に指定されている。
イスラム教徒が多数を占めるマレーシアでは、党派を超えて多くの人がパレスチナ人とパレスチナの大義を支持している。マレーシア政府はイスラエルを国家として承認しておらず、2国家共存による解決が実現するまで承認しないとしている。
現在76歳のアンワル氏自身、大学時代からパレスチナの支持者だ。アンワル氏のかつてのメンターで、今は政敵となっているマハティール・モハマド元首相も、パレスチナの主張を強く支持し、今回のイスラエルのガザ攻撃を非難している。
首都クアラルンプールでは、パレスチナ問題に関する会議が頻繁に開かれている。イスラエルがガザ地区で報復攻撃を始めてからは、世界の多くの地域と同様、マレーシアでも大規模な集会が開かれている。ハマスへの支持を表明する人たちもいる。
そのため、今回のアンワル氏のような発言は国内政治としてはうけるのだと、アナリストらは話している。
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アンワル氏は以前、イスラエルに対して強い姿勢を取らなかったことで批判された。2012年のインタビューでは、マレーシアは「(イスラエルの)安全保障を守るべきだが、パレスチナ人の正当な利益を守ることでも断固とした態度をとるべきだ」と述べていた。
しかし今回は、ハマスを非難するよう求める西側の圧力を拒絶。ハマスについて、住民に選ばれてガザ地区を統治しているとした。先月の親パレスチナ集会では、イスラエルの軍事行動を「この世界における野蛮の極み」と非難した。
さらに7日、アンワル氏はハマス戦闘員を「過激派」と表現しないよう、メディアに強く求めた。その中でハマスを、南アフリカでアパルトヘイト(人種隔離政策)を終わらせようとしたアフリカ民族会議(ANC)になぞらえた。