イギリスのスエラ・ブラヴァマン内相が9日、パレスチナを支持するデモ行進に対するロンドン警視庁の対応を批判し、物議をかもしている。
イギリスではロンドンを中心に、イスラエルによるガザ空爆に抗議する大規模な集会が毎週末、行われている。
英紙タイムズへの寄稿でブラヴァマン氏は、ロンドン警視庁が抗議運動で「二重規範」による取り締まりを行っていると指摘。右翼やナショナリストの抗議者は「厳しい対応を取られる」のに対し、「親パレスチナ派の暴徒」による違法行為は「ほとんど見過ごされている」と述べた。
ブラヴァマン氏の意見には、元警察トップや議員らから非難されており、内相の更迭を求める声が与野党から上がっている。
一方、リシ・スーナク首相の報道官は、首相官邸はこの記事を事前承認していないと、ブラヴァマン氏の発言から距離を置いた。
ブラヴァマン氏はこれまでも、厳しい移民政策を推し進め、人種的偏見や差別問題を重視する「ウォーク」カルチャーへの攻撃的な姿勢などで注目を浴びている。
先には、ホームレス状態の人々の路上生活は多くの場合、当人が「選んだライフスタイル」だとソーシャルメディアに書き、批判された。また9月には、国連の「難民の地位に関する条約」について、もはや目的にそぐわない、時代遅れだと述べ、こちらも批判された。
ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスは10月7日、イスラエル南部を攻撃。約1400人が殺害されたほか、240人以上が人質として連れ去られた。これ以降、イスラエルはガザ地区への空爆を続けており、ハマスが運営するガザ地区の保健当局によると、これまでに1万人以上が殺された。