2023年11月28日(火)

BBC News

2023年11月10日

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米俳優ロバート・デ・ニーロ氏の制作会社は9日、ジェンダー差別と腹いせを受けたとして訴訟を起こした元従業員に120万ドル(約1億8000万円)を支払うよう命じられた。

グレアム・チェイス・ロビンソン氏は、デ・ニーロ氏の所有するキャナル・プロダクションズを退職した後、同氏と同社を提訴。同社で虐待や屈辱的な扱いを受け、少ない給与で働かされ、デ・ニーロ氏の「オフィス妻」のように扱われていたとして、1200万ドルの損害賠償を求めた。

この民事裁判は数年におよんだが、ニューヨークの裁判所の陪審はデ・ニーロ氏個人の責任は認めなかった。

「典型的に女性向けとされる」仕事

ロビンソン氏は、デ・ニーロ氏の会社で11年間働いた。2008年に個人助手として雇われた後、制作・財務担当副社長に昇進した。

しかし2019年に退職した後、デ・ニーロ氏がしばしば「下品で不適切な性差別的発言」をし、自分に「典型的に女性向けとされる」仕事を割り当てたとして、「精神的苦痛と風評被害」を理由に訴えた。

デ・ニーロ氏は、決して虐待はしていないと主張。機嫌が悪いこともあったと認めながらも、ロビンソン氏の主張を否定した。

キャナル側も、ロビンソン氏が企業資金を悪用し、資産を盗み、45万ドル相当の航空マイルを自分の個人アカウントに転送したとして提訴した。しかし陪審員は、キャナルが主張する財務上の不正行為について、ロビンソン氏の責任を認めなかった。

デ・ニーロ氏はこの日、出廷しなかった。判決は法廷で読み上げられた。

ロビンソン氏は判決言い渡しの際に笑顔を浮かべ、陪審員が去った後に弁護団と抱きしめ合っていたと、AP通信は伝えている。

ロビンソン氏の弁護士はBBCに対し、「陪審員が我々と同じものを見ていてうれしかった」と話した。

「ロビンソン氏がキャナルとの訴訟に勝っただけでなく、陪審はデ・ニーロの訴えを棄却し、ロビンソン氏が完全に正当であることを示した」

法廷で「恥を知れ」と

裁判ではデ・ニーロ氏も証言台に立ち、ロビンソン氏の目の前で彼女を非難し、声を荒げたことがあったと認めた。だが、「決して虐待はしていない」と述べた。

一方で、法廷でロビンソン氏を直視し、「恥を知れ」と大声で感情を爆発させる場面もあった。

デ・ニーロ氏はさらに、少なくとも2回、ロビンソン氏に背中をかいてくれるよう頼んだことを認めたが、それについての質問には 「わかった、2回? やられたよ!」とまともに答えなかった。

デ・ニーロ氏は裁判で、ロビンソン氏が仕事にとどまるために要求を加速させたため、同氏を昇進・昇給させたが、その責任はほとんど変わらなかったと主張した。

これに対してロビンソン氏は、デ・ニーロ氏から休日も含めて常に電話で連絡が取れるよう要求され、怒鳴りつけられたと述べた。

また、「どん底」に突き落とされたような「感情的・精神的崩壊」があったために辞職したと主張し、不安とうつ病に苦しんでいると述べた。

「私には社会生活がなくなった」、「人生を失った。キャリアを失った。経済的自立も失った。すべてを失った」と、ロビンソン氏は述べた。

(英語記事 De Niro's firm ordered to pay ex-assistant $1.2m

提供元:https://www.bbc.com/japanese/67376733


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