
ロシアの国営メディアは13日、ウクライナ南部ヘルソン州のドニプロ川東岸のいくつかの陣地からロシア軍が撤退したと報じ、すぐに撤回した。この地域はウクライナの反転攻勢で焦点となっている。
ロシア国営通信社のタスとRIAノーヴォスチは、部隊をドニプロ川東岸の「より好ましい陣地」に移動させていると、国防省が発表したと報じた。東岸はロシアが占領している。
移動の目的については、「部隊の一部を自由にし、他の地域での攻撃で使える」ようにすることだとした。
両通信社はほどなくして、この報道を撤回。ロシア国防省は、ウクライナのせいで「虚偽の報道」が流れたとした。
一方、ウクライナは、ロシア国防省がウクライナをかく乱しようと、情報操作のための発表をしたとした。
ロシア軍はほぼ1年前に、ヘルソン市を含むドニプロ川西岸地域から部隊を撤退した。以降、同軍とウクライナ軍がドニプロ川を境に向き合う状況が続いている。
今回の報道で使われた表現は、ロシアが過去の撤退発表で使った表現と似ていた。
ロシア大統領府はこの件についてコメントせず、軍の問題だとした。
ドニプロ川東岸の攻防
ウクライナ軍はここ数週間、ドニプロ川沿いの広い範囲で、ロシア軍に対する攻撃を強めている。ロシア占領地に食い込み、クリミア半島へのロシアの連絡ルートを遮断するのが狙いで、ウクライナの反転攻勢で重要な作戦となっている。
ロシアもここを重視している。10日には、東岸の上陸拠点を築こうとしたウクライナを撃退したと発表した。一方、米シンクタンクの戦争研究所(ISW)はロシアについて、「ウクライナ軍が東岸の陣地に人員や物資を追加移動させるのを妨げなかった」とした。
<関連記事>
こうした動きとは別に、ウクライナ当局は13日、ヘルソン州でロシア軍による攻撃があり、民間人3人が殺されたと発表した。
他方、ロシアが占領する南部メリトポリ市で11日に発生し、少なくとも3人のロシア軍将校が殺害された爆発について、ウクライナ軍の情報当局が関与を認めた。ウクライナ政府は、爆発は現地の抵抗勢力による「報復」だとした。
ウクライナ側の戦闘員らは、自動車爆弾やその他の爆発によって、多くのロシア当局者やロシアへの協力者を殺害したと主張している。先週もロシア占領下のウクライナ東部ルハンスク市で、分離主義の民兵組織の元トップでロシアに協力していたミハイル・フィリポネンコ氏が殺害され、ウクライナ側が関与を認めた。