
ウクライナのアンドリー・イェルマク大統領首席補佐官は15日、ロシア軍が占領してきた南部ヘルソン州のドニプロ川東岸にウクライナ軍が足場を築いたと、米シンクタンクに説明した。
ドニプロ川東岸を押さえられれば、ウクライナにとって大きな前進となる。
ドニプロ川をはさんだ攻防は、ロシアの侵攻を受けたウクライナの反転攻勢で、焦点のひとつとなっている。
ロシアは1年ほど前に、西岸から撤退。以来、ウクライナ軍は、東岸にも拠点を築くことを目指している。
アメリカの専門家らは、ドニプロ川から2キロメートル、ヘルソン市から30キロメートルの位置にあるクリンキー村で、ウクライナ軍がわずかに前進したと分析していた。
ロシア側も認める
一方、ロシア側も15日、ウクライナ軍の「小グループ」が東岸のクリンキー村に拠点を構えたと認めた。ただ、まもなく一掃されるだろうと主張した。
ロシアが占領するヘルソン州のウラジーミル・サルド知事は、ウクライナ軍は多大な損害を被っていると主張。兵士らは「火炎地獄」に直面し、逃げ出せる見込みはないとした。
そして、「現在、私たちの追加部隊が投入されている。敵はクリンキーに閉じこめられている」と述べた。
この2日前には、ロシアの国営メディアが、ドニプロ川東岸のいくつかの陣地からロシア軍が撤退したと報じ、すぐに撤回している。
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ウクライナ軍は春から夏にかけて何度か、小型ボートでドニプロ川を渡ろうした。だが、制空権がないことなどから、ほぼ失敗に終わった。
東岸に拠点を確保すれば、ウクライナ軍は装甲車や防空システムをドニプロ川を越えて運び入れることができる。さらに、2014年にロシアに不法に併合されたクリミアへの進軍に一歩近づく。
イェルマク氏は、「ウクライナ軍は一歩一歩、クリミアの非武装化に向かっている。70%の距離まで来た」と述べた。また、ロシアがイラン製のドローン(無人機)や北朝鮮製の大砲を使っているとし、西側諸国にウクライナへの武器供与を増やすよう訴えた。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は14日、東部アウディイウカ近郊で戦闘が激化していると説明。ロシア軍はその破壊された町の占領を狙っているが、「人員と装備を失っている」とした。
ウクライナは今年6月、南部と東部の領土を取り戻そうと反転攻勢を開始した。しかし、これまでのところ目立った領土奪還は達成できていない。