
フィンランドは16日、ロシアから増加している亡命希望者の流入を阻止するため、ロシアとの国境にある検問所9カ所のうち4カ所を18日に閉鎖すると発表した。
フィンランド政府は、同国が4月に北大西洋条約機構(NATO)の31番目の加盟国になったことへの報復として、ロシアが亡命希望者をこれらの検問所へ誘導していると非難した。
クレムリン(ロシア大統領府)のドミトリー・ペスコフ報道官は、フィンランドは「大きな間違い」を犯し、二国間関係を破壊していると述べた。
フィンランドの国境警備隊によると、今週には約300人の亡命希望者がフィンランドに到着した。
国境警備隊は18日午前0時から、フィンランド南東部にあるヴァーリマー、ヌイヤマー、イマトラ、ニーララの国境検問所に障壁を設置するとした。
これらの検問所では、シリアやイエメン、イラクなどの国からロシアを経由して、フィンランドに不法に入国する人が増えている。
ペスコフ報道官は、「フィンランド当局が二国間関係を破壊する道を選んだことに深い遺憾の意を表明するほかない」と述べたと、ロシア国営タス通信は報じた。
「ロシアは近代史において、フィンランドを脅かしたことは一度もない。いま彼らはそうした道を選んでいる」
「我々から見れば、これは大きな間違いだ」
「亡命希望者を意図的に国境に送っている」
フィンランドのペッテリ・オルポ首相は、適切な書類を持たない人々が国境までたどりつけるよう、ロシアがわざと手助けをしていると非難した。
オルポ首相は、4カ所の国境検問所を閉鎖するとを認めた。同国最北部のサッラやヴァルティウスなどにある検問所については、亡命申請のために開いたままにするという。
国境警備隊によると、17日には100人の亡命希望者がフィンランドに到着した。
フィンランド当局によると、フィンランドにやってくる人々は、ロシアに合法的に到着した後にフィンランドとの国境まで移動し、EU加盟国の同国に入り亡命申請している。
ロシア当局がこうした越境を画策していると、オルポ首相は非難している。
「これらの人々が、(ロシアの)国境警備隊の助けを借りて国境まで護送あるいは移送されていることは明らかだ」と、同首相は14日に述べた。
2021年には数千人の移民が、ロシアの同盟国ベラルーシを経由して、EU加盟国のポーランドとリトアニアへ入った。EUは当時、第三国から来た人々がEU圏へ入るのをベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領が手助けし、EUを不安定化させようとしていると非難した。
フィンランドはロシアと全長1340キロの国境を接しており、EU加盟国の中で最も長い。