
イスラエルのマイケル・ヘルツォグ駐米大使は19日、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスに連れ去られた多数の人質の解放をめぐる合意が、「数日中に」まとまることに期待していると語った。
ヘルツォグ氏は米ABCに対し、人質の解放に向けて「懸命な努力」がなされているとしつつ、その詳細を明らかにしなければしないほど「合意に至る可能性は高くなる」と述べた。
ハマスは10月7日にイスラエルを奇襲し、イスラエル側で約1200人を殺害し、推定240人をガザ地区へ連れ去ったとされる。
解放交渉を仲介するカタールも、合意を実現できるところまで来ているとしている。
人質をめぐってはこれまでに、アメリカ人母娘とイスラエル人女性2人が解放されている。これらの交渉にもカタールは関与した。
「合意に十分近づいている」
米紙ワシントン・ポストは、イスラエルとハマスが「5日間の戦闘休止と引き換えに、ガザで人質となっている数十人の女性と子供を解放するという、アメリカが取り計らっている合意」に近づいていると、「合意条件に詳しい人物」の話として伝えた。
カタールのムハンマド・ビン・アブドルラフマン・アル・サニ首相は19日、現実的な移送上の問題は「ごくわずか」しか残っておらず、「我々は合意に十分近づいている」と述べた。
アメリカは交渉の進展状況について詳細を明かしていない。
米国家安全保障会議(NSC)のエイドリアン・ワトソン報道官は、「まだ合意には至っていないが、合意に向けて努力を続けている」とソーシャルメディアに投稿した。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、完全な停戦については可能性を排除している。
ネタニヤフ首相は18日夜の記者会見で、ハマスとの戦闘における目標は第一にハマスの壊滅、第二に人質の返還、第三にガザ地区からの脅威の排除だと述べた。
ネタニヤフ氏は人質の解放を実現するために十分な行動を起こしていないと批判されている。
18日には、人質となった人々の家族や友人、支援者らが、イスラエル政府に人質の解放を優先するよう求め、西部の主要都市テルアヴィヴからエルサレムへデモ行進した。
参加者らは、エルサレムに到着後、ネタニヤフ首相の公邸前で抗議デモを行った。
12歳の息子を含む家族2人が、イスラエル南部のキブツ(農業共同体)ニル・オズから連れ去られたというアリ・レヴィさんは「私たちは答えを求めている」と話した。
「子供たちが43日間も誘拐されたままなんて、普通ではありえない。政府が何をしているのかわからないし、情報もない」と、レヴィさんはAFP通信に語った。
義理のきょうだいと12歳のおいが拘束されているというドヴォラ・コーエンさん(43)は、「政府には、彼らを私たちのもとに連れ戻してほしい」と述べた。
イスラエル軍は今週、人質に取られていたイエフディト・ワイスさん(65)と、イスラエルの女性兵士ノア・マルシアーノさんの遺体をガザ地区で発見したと発表した。