2023年12月11日(月)

BBC News

2023年11月21日

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X(旧ツイッター)における「反ユダヤ主義」が問題になっている。アメリカの左派団体は、反ユダヤ的な投稿の隣に広告が表示されているとしてXを非難。企業は相次ぎ広告を止めた。これに対しXは20日、この団体を提訴した。

メディア監視団体「メディア・マターズ・フォー・アメリカ」は先週、Xでヒトラーの発言の引用やホロコーストを否定する主張などナチズム支持の投稿の隣に、広告が表示されていたと指摘した。

これを受け、アップル、ディズニー、IBM、コムキャストといった企業がXでの広告を停止。欧州委員会、ワーナー・ブラザース・ディスカバリー、パラマウント、ライオンズゲートも広告を引き上げた。

Xを所有するイーロン・マスク氏は18日、メディア・マターズと、「私たちの会社に対するこの詐欺的攻撃に共謀した」全員を訴えると表明。

Xは20日、米テキサス州で裁判を起こし、メディア・マターズが「故意かつ悪意をもって」、ネオナチや白人ナショナリストらの投稿と広告を並べた画像を作り、それがXでの典型的な表示であるかのように説明したと主張した。

そして、「メディア・マターズは、これらの画像とメディア戦略の両方をデザインし、Xから広告主を追い出して企業としてのXを破壊しようとした」とした。

Xはさらに、コムキャスト、オラクル、IBMの広告は、メディア・マターズに対してのみ、憎悪に満ちた投稿と並んで表示されただけで、他に見た人はいないと主張した。

Xのリンダ・ヤッカリーノ最高経営責任者(CEO)は20日、「真実はこうだ。Xの本物のユーザーで、メディア・マターズの記事のコンテンツの隣にIBM、コムキャスト、オラクルの広告を見た人は一人もいない」とXに投稿した。

訴訟で脅す「いじめっ子」

提訴されたメディア・マターズのアンジェロ・カルソン代表は、「マスクは自らを言論の自由の擁護者だと主張するが、実際はほど遠く、自ら正確だと認めた指摘さえも抑え込もうとして、メリットのない訴訟を起こすと言って脅すいじめっ子だ」とする声明を出した。

メディア・マターズは2004年設立。保守的なコメンテーターやメディアへの批判で知られる。非営利で、「米メディアにおける保守的な誤報を包括的に監視、分析、訂正することに特化した進歩的な調査・情報センター」だと、自らについて説明している。

マスク氏の返信が批判浴びる

これとは別に、マスク氏個人も先週、Xで反ユダヤ主義的な言葉を増幅させていると非難された。

マスク氏は15日、ユダヤ人コミュニティーが白人への憎悪を助長しているとの陰謀論をシェアする投稿に返信。「紛れもない真実」と書き、批判を浴びた。

マスク氏はその後、自らは反ユダヤ主義ではないと主張。Xでのコメントはすべてのユダヤ人ではなく、ユダヤ人による反憎悪監視団体「名誉毀損(きそん)防止同盟」のような団体のことを言ったものだと述べた。

米政府はスレッズをスタート

一方、テキサス州のケン・パクストン司法長官(共和党)は20日、メディア・マターズについて、Xに関する主張をめぐって「詐欺行為を行った可能性」があるとして、捜査に着手したと発表した。

パクストン氏の事務所は声明で、メディア・マターズを「過激な反言論の自由団体」だとした。

他方、ホワイトハウスは同日、ジョー・バイデン大統領がXのライバルであるメタ傘下のソーシャルメディア「スレッズ」に参加すると発表した。

大統領、大統領の妻、副大統領、副大統領の夫のアカウントがスレッズで作成されたという。

(英語記事 X sues pressure group over antisemitism claims

提供元:https://www.bbc.com/japanese/67482519


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