2024年2月29日(木)

BBC News

2024年1月31日

イスラム組織ハマスの政治指導者イスマイル・ハニヤ氏は30日、パレスチナ自治区ガザ地区でのイスラエルとの戦闘の一時停止を含む新たな提案について、検討していることを明らかにした。

ハニヤ氏によると、ハマスはイスラエルやアメリカ、カタール、エジプトが打ち出した枠組みついての議論に招かれたという。

この枠組みは、6週間の停戦を実施する間、ハマスの人質となっているイスラエル人と、イスラエルの刑務所に収監されているパレスチナ人囚人を交換するものだと報じられている。

ハマスが優先するのは恒久的な停戦とイスラエルの完全撤退の実現だと、ハニヤ氏は強調した。しかし、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はこれらの可能性を排除した。

ネタニヤフ氏はガザ地区での「完全な勝利」が達成されるまで、つまりハマスの排除と人質全員の解放が実現するまで、戦闘は終わらないと主張した。

ハマスは昨年10月7日、イスラエル南部への前例のない越境攻撃を行い、民間人を中心に約1300人を殺害、約250人を人質にとった。これを受け、イスラエルは報復攻撃を開始した。

ハマスがガザ地区で運営する保健省によると、同地区ではこれまでに2万6700人以上が殺害されている。

昨年11月下旬から1週間続いた戦闘休止では、イスラエル人105人と複数の外国人の人質が解放された。

その見返りとして、イスラエルは刑務所に収監していたパレスチナ人受刑者約240人を釈放した。

イスラエルは136人の人質が拘束されたままだとしている。ただ、そのうち20数人は死亡したと推定されている。

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カタールの首相と米中央情報局(CIA)長官、エジプトの情報当局トップは28日、フランス・パリで、イスラエルの対外情報機関モサドやイスラエル総保安庁(シンベト)の幹部と協議。2度目の戦闘休止に向けた枠組みの条件で合意した。

米メディアによると、最初の6週間の停戦の間に、パレスチナ人の囚人と引き換えに、ハマスがいまも人質となっている高齢者や女性、子供を解放するというもの。これが成功すれば、さらに2段階の交換が行われ、最終的には男性のイスラエル兵も引き渡されるとされる。

アントニー・ブリンケン米国務長官は29日、提案の詳細は明かせないとしつつ、「強力で説得力のあるもの」だと述べた。

イスラエル首相府は今回の会談を「建設的」なものだったと評価しつつ、「かなりの隔たりがあるため、当事者同士の話し合いは続くだろう」とした。

ハマスは「協議の用意ある」

ハマス指導者のハニヤ氏は、拠点としているカタールで30日朝、この枠組みについて協議するため、エジプトの首都カイロに招待されたと明かした。「ガザ地区への侵略行為を止め、占領軍を撤退させることが優先事項であることを前提に」対応する方針だとした。

ハマスは「侵略行為の包括的な停止や家を追われた人々のためのシェルターの確保、(ガザの)再建、(ガザ)封鎖の解除、イスラエルの刑務所にいる(パレスチナ人)囚人の解放を保証するための真剣な捕虜交換の実現につながるものであれば、どんな新しい実行可能なイニシアチブやアイデアについても協議する用意がある」と、ハニヤ氏は強調した。

イスラエルの極右政治家、イタマール・ベン・グヴィール国家安全保障相は、ハマスとの「無謀な取引」が成立した場合には、連立政権を「解体」すると警告した。ハマスは、イスラエルやイギリス、アメリカなどからテロ組織に指定されている。

イスラエル首相は強硬姿勢を強調

一方、ネタニヤフ首相はパレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区での演説で、「はっきりさせておこう。我々は、すべての目標を達成しないままこの戦闘を終結することはない」と述べた。ハニヤ氏とベン・グヴィール氏の発言に対する反応とみられる。

「(目標とは)つまり、ハマスを排除し、人質全員を帰還させ、ガザ地区が2度とイスラエルの脅威とならないようにすることだ」

「我々はガザ地区から(部隊を)撤退させないし、何千人ものテロリストの解放もしない。このどれも実現することはない。この先何が起こるのか? それは完全な勝利だ!」

ガザ南部で戦闘続く

こうした中、ガザ地区南部ハンユニスではイスラエル部隊とハマス戦闘員による戦闘が続いている。

パレスチナ赤新月社(PRCS)は30日午後、ハンユニス西部にあるアル・アマル病院の「前庭」にイスラエルの戦車が駐留し、「避難民とPRCSスタッフに向けて実弾と発煙弾を発射している」とソーシャルメディアに投稿。「PRCS本部内の複数のテントで火災が発生した」と付け加えた。

イスラエル国防軍(IDF)の報道官は、30日に「アル・アマル病院内で活動したり、避難を要請したりはしていない」とした。

「IDFは病院側との緊密な連絡を保っている。さらに、監視の結果、アル・アマル病院が機能していて十分な燃料と電力を確保していることが分かっている」

「IDFは29日にアル・アマル病院の酸素供給が危険にさらされているとの連絡を受け、同日午後にアル・アマル病院に到着した酸素ボンベ2個を補充するよう促した」

IDFはこれまで、ハマスが複数の病院内で活動し、病院から攻撃を仕掛けていると非難してきた。ハマスと地元の医療関係者はこれを否定している。

ガザで現在も機能している医療施設のうち最大のナセル病院の周辺でも、激しい戦闘と砲撃が報告されている。

国境なき医師団(MSF)は29日、ガザ地区に残っている一握りの医療従事者が、避難できずにいる300~350人の患者を治療しようと、物資が不足するなか奮闘しているとした。

MSFのラミ看護師は、救急診療の医師は腹部用ガーゼの再利用を余儀なくされていると語った。「一度使ったガーゼから血を絞り出し、洗い、殺菌して、別の患者にまた使っている」。

(英語記事 Hamas says it is studying new Gaza truce proposal

提供元:https://www.bbc.com/japanese/68126128


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